悪魔の思惑
……という場面までは記憶しているが、そこからは意識が途絶え、俺は見たこともない空間に立っていた。ダメダメな人生だったが、あのカンダタだって蜘蛛を助けただけで、天国に招かれたのだ。俺は人を助けたんだし。アレ? こいつ??? え、地獄???
「何を恐れておる。ここは天国でも地獄でもない狭間の世界といったところだ」
と、語ったのは、黒い蝙蝠のような大きな羽を広げた悪魔のステレオタイプみたいはヤツ。どこかのRPGで見たことがある。こいつ、ディアボロスだ。
「俺を知っておるのか? ならば話が早い。お主、天国に行かせてやってもよいが。どうだ、俺と取引をせんか?」
「おい。おい。悪魔との取引なんてどうせ魂を差し出せとか何とか言うのだろう?」
「いや。今回はそれはいらぬ。まぁ、俺たちの戯言と思えばいい。人の『選択』というものを見たくなってな。俺様ツェェ〜で転生してみないか? 報酬は、お前がその後悔を挽回する機会を得ることだ」
「流行りというか、手垢がついて真っ黒になったソレかい? 後悔をというが、転生するのは異世界だろう? 妻がいるとは思えないが?」
「まぁ、それは見てのお楽しみだ。俺は悪魔だからな。そこまで親切に説明してやらん」
こういうことのようだ。俺は異世界に転生し、どういうことは分からないが「妻を幸せにできなかった」という後悔を晴らせるチャンスに巡り合えるということのようだ。もちろん、ありがちな設定通りで、俺は最強、どうやら宇宙をも崩壊させる能力を持てるようだ。
だが、待てよ? どんなに最強といっても宇宙崩壊まで必要? アレ? 何か、変じゃね?? と思ったが、俺の沈黙は了と解釈されたのか、最初から選択肢がなかったのかは分からない。
「では。行くがよい! ああ、言い忘れた。十二年間、お前は前世の記憶を失っているがな。ま、女の子の体に慣れてもらうため、と思ってくれ」
「って。女の子? ええ、どいぅこと?? えぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
少し長くなりすぎたのと切れ目ということで、部分分けして2部分リリースとしました。多くの異世界物は、ここで神様に会うのでしょうけど、ちょっと捻って悪魔です。前作もそうなんですが、主人公を「正義の味方」だけに収まらない感じにしたかった、みたいな。
それと、ルナは最強といっても魔力だけで、弱点だらけです。最大の弱点わぁ〜。その「心」だったりします。