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シュウマツの窓辺に白百合を〜異世界に「あたし最強!」で転生したのだけど、前世のヨメがいた  作者: 里井雪
異変の始まり

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学園のキャンプ実習

 翌日、私たちはパーティの申請書を出した。どうやら、私たちが最後の申請となったらしく、結局、味噌っかすパーティということになってしまった。


 「今までの事件って、何?」 残り物を集めるという意味で、結果的にこの五人が集結せざるを得ない、ということだったのかもしれない。


 授業が終わった後、五人で集まって連携練習が始まった。実習まで残り四日だ。一夜漬けになってしまうが、私たちは、バーティバランスが良く、各個人の技量も高い。


 エドム、と、ジャムがどの程度できるのかは、知らなかったのだが、兄弟の息の合い方は申し分なく、冷静に状況把握ができている。攻撃型の後衛としてのプレイヤースキルは非常に高い。


 彼らが火炎放射を実行したら、私は、飛んで逃げることにした。エルフの守りがあるので、まともに火炎を浴びてしまっても死にはしないが、ちょっとした体裁上の問題と、次に繋げるためだ。この連携で最後に止めを刺すのは私なのだが、上空に逃げつつボスを狙う。飛行しながら切る練習もしてみた。


 飛びながら剣を振り回すなど、私以外にできる者などいないはず。当然、手本となる先生はおらず、自己流だ。剣を持った際の姿勢制御がかなり難しく、初日は左右に揺れてタゲがずれてしまっていたが、最終日になるころには、なんとか形になってきた。身長の高いボスの首を落とすことになるわけで、かなり有用なスキルになりそうだ。


 そんな日々。仲間が増えてとても楽しい日々。今生、初めてのことかもしれない。マリアに感じていたものとはまた違う、幸福感で私は満たされていった。


 ああ、ミチコを幸せにするのが私の目的なのに、自分が幸せになってどうするの? とも思ったが。彼女も同じ気持ちであることは、夜ごとの何気ない会話の端々にも感じられた。


 さてさて。十二月二十五日となった。天候が心配だったが、綺麗に晴れてくれた。魔法天気予報によると、ここ数日は安定した天候らしい。昼食の弁当は私とミチコが分担した。


 食材を求めて狩りまでする予定はないので、夕食と翌朝の食材も準備した。テント、寝袋、食事道具などは例の縮小袋で小さくはできるのだが、それなりの重量だ。


 そこは、男の子二人。エドムとジャムが背負ってくれることになったし、ミチコとリベカも私に気を使って、かなりの荷物を分担してくれた。私が持つのは、うん?、お菓子だけ?、子供かよ!!


 ジョギングで少しはマシになったとはいえ、まだまだ体力が不足している私。途中で誰かの背中を借りるなど、以ての外だろう。みんなの好意に甘えておくことにした。


 十グループのパーティは、それぞれ指定された森の中の魔導石ポイントに赴く。私たちは、森の最も奥のポイントを指定された。これは教官がパーティの実力を考えた選択だったのだろう。


 奥に行けば行くほどガーディアンは強くなる。とはいえ、最深部というほどでもない、学園から歩いて五時間ほどの距離だ。朝、出れば、お昼には到着できるだろう。


 連携も練習通り上手く行ったし、正直、もうピクニック気分だ。お昼前にはあっさり、一分もかからなかった、ガーディアンを倒して課題の、風の魔導石採取を済ませてしまった。


 お弁当を食べて、さぁてぇ〜。散策でも。ふと見ると冬咲きのクレマチス。可憐な白い花だ。例によって手折って本に挟む。さすがに、魔導書ではできないので、例のSF小説なのだが、もう読んでしまって、今は押し花専用本になってしまった。


「ねぇ。ルナ、あの約束覚えてる?」


「うん??」


「貴女の真の力を見せてくれるって」


「ああ、ここは森の奥だし、学園の他のパーティともかなり離れてるわね。まぁ、半径五キロ円内に人がいないのなら大丈夫かな」


「なんや?」「え?」「どういうことです?」


 私は三人にクロスペンダントの効能など、私の魔力について説明した。このパーティなら、もう、そのくらいは知られてしまっても問題ないだろう。


「言われて見れば、そうやなぁ〜。物凄い魔力と聞いてたけど、全然、感じられんかったから」


「じゃ、これから、やるわよ。これをやるということは、私が、みんなを信頼するという誓いでもあるの。私のオーラが凄いことになるけど、驚かないでね」


「わかったわ」「よっしゃ」「はい」「わかりました」


 異口同音に四人が同意してくれた。


 私はゴソゴソと胸に手を入れた。なんだが様にならない仕草だ。ペンダントを握り少し肌から離す。私の瞳はルビーに輝き、白銀のオーラが溢れ出す。


「わわわわわ。これは、聞きしに勝る!!!」


 いつもリアクションのいいリベカだ。他の三人は唖然と見ているだけ。まぁ、そちらの方が普通だろう。


「私は御伽噺のエルフかもしれないのだけれど……」


「そうだったとしても、私たちの友情に揺らぎはないわ」


 即座にミチコが答えてくれた。彼女は一瞬で理解したようだ、なぜ、私がこれを躊躇っていたかも。


「当然や」「もちろん」「当然です」


「ありがとう。みんな」


 また、涙が溢れそうになったので私は顔を上げ、空を見た。え? 何? アレ??


「リ、リベカ、貴女のバードアイで見てみて、南西の空」


「うん? え、えええええ!!! り、龍が!!!」

 結果からみれば、必然的に五人は集結した。でも、もし、なし崩し的なパーティ結成なら、その後のストーリーは違っていたかも。それも含めて運命だと思っているわ。


 先日、お仕事の関係で会った人。美少女ゲームが好きとのこと。若い人でしたので、今時、珍しい? 私はアニメ専門なので、アニメ化されたものしか知りませんが。Keyファンと聞いたので「何が一番好き?」「AIR」「おお! 気が合うねぇ」。


 最後にチラと書いたセリフ「涙がでそうなので空を見上げた」。その方も「もちろん知ってます!」と言ってました。こちらはminori(解散は残念ですが時の流れでしょう)の名作「ef」新藤千尋ちゃんをイメージしています。


 五人の技量はかなり高いので、ピクニック気分の演習が一転……。この世界で最強級の力を持つ龍は、ルナの魔力に引き寄せられたようです。さて、どうなるか? それは明日!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 37/37 ・前半のピクニック気分から徐々に……読んでて楽しかったです [気になる点] 竜との戦闘ですか。百合磁石から推測すると、何らかの傷を負うのでしょうね。 [一言] 半径10キロの…
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