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シュウマツの窓辺に白百合を〜異世界に「あたし最強!」で転生したのだけど、前世のヨメがいた  作者: 里井雪
リベカとの出会い

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女の子同士の未来

「いつか、そういうのも悪くありませんね。どう? ルナ?」


 うううーー。ミチコ、さすが三歳年上の貫禄というか、軽く受け流している。


「う、うん。まぁ、いつかはね」


「確かに、こっち、ユーロ連邦やと、同性愛いうだけで白い目で見られるらしいなぁ〜。折角の学園、それから、私らルナの噂も聞いてる。みんな冒険者目指すんやろ? そした、私ら、卒業したら貴族でも平民でもない自由民。しょうもない過去の(しがらみ)は捨てたらええと思うで」


「その通りです。どうです? パーティ分けの際、私たち一緒にやりませんか? もし良ければ、冒険者となっても同じパーティで!」


「ええな! 二人がええなら、異論はないで」


「もちろん! 是非!!」


「あ、だから、敬語はなしで」


「あ!」


 ミチコは私がリベカをお茶に誘った意図を察してくれた、ということもあるのだろうが、しっかり自分がある彼女のこと。リベカのことが気に入らなければ、この発言はないだろう。それも含めて良かった。


「そういえば、ミチコは何の魔法を?」


「ちょっと、後ろを向いていてもらえるかな?」


「ああ、了解」


 ミチコが変身の魔法を使い、巫女風装備に神楽鈴を手挟んだ姿となった。


「私は回復と防御しかできないの」


と言って、軽く鈴を降り治癒魔法、今は傷もないので少し手首に温かみを感じただけだが、を唱えた。


「いやぁ〜。パーティとしては完璧なんちゃう? ルナが先鋒で、後方からミチコに守られつつ、私が遠隔。もうちょっと火力が欲しいなぁ。あと二人やなぁ〜」


「攻撃特化型のルナ、と防御特化の私、いいコンビだと思いますが、そこに遠隔が加われば百人力です」


「そうね。ボス戦など敵が少ない時は鉄壁の布陣と言えるけど、雑魚が大量に出た場合とか。まだ、期日までは少しあるから、残り二人を探しましょう? って、私、初対面の人苦手;;」


「ああ、言うた通り、分かる気ぃがするわ。よう、私に声かけてくれた!」


 あとは、取り留めのない話が続き、三人で夕食。リベカは自室、なぜか一人部屋だという、に戻った。


「ねぇ。ミチコ。貴女のあの神楽鈴、名前を聞いたことないのだけれど?」


「えっ、なぜ、ルナ、神楽という言葉を知っているの? 何かまだ秘密があるんじゃない?」


「うっ」


「いいわ。いろいろあるんでしょう。今、話したくない、あるいは、私が聞くと不味いこともあると思っておくわ。でもね。私と貴女は親友のはず。だから、いつか、そう、私の命が尽きるまでには教えてね」


「ありがとう。確かに貴女に話していないことは、いくつかある。でも、決して意地悪とか、ましてや、貴女を信頼していないからではないわ。それだけは誓って」


「分かってるって。で、ああ、鈴ね。特に名前は付けてないわ」


「ダメよ。物には名前が必要なの。名前で呼ばれることで物には魂が宿る。発揮できる魔力だって上がるはずよ」


「それは初耳だわ」


「じゃ、鈴をもう一回、持ってきて」


「分かったわ」


「私が命名してあげる。貴女の名前は、今からティターニアよ」


 話すと同時に私は魔力の方向を鈴に向けた。


「これでいいわ。使ってみて?」


 彼女は軽く鈴を振った。


「え!! こんな!」


 私が使った魔力量もあるが、そもそもとてもレアな補助アイテムが限界突破。本来あるべきフルパワーを発揮できるようになったということだ。おそらく元の性能の数倍にはなっているはずだ。ミチコの魔力が相当に高いことと考え合わせれば、これで、彼女はこの世界で屈指の大プリーストの力を得たに違いない。


「こんなチート技があるなんて。でも、これで、特に防御系に自信がついたわ。今なら龍のブレスでも防げる気がする」


「多分、それくらい簡単よ。でも、ごめんね。名前のことは知っているものだと思ってた」


「東洋は魔法の体系もこちらとは少し違うからかな。ところで、ティターニアって誰?」


「あのねぇ〜。私の知ってる物語で、オベロンは妖精王、ティターニアはその妻よ」


「ペアにしてくれたんだ。嬉い! っていうか、どっちかと言えば、私がルナを嫁にしたいのだけれど」


 冗談と分かっていても顔が熱ってしまう。いろいろバレバレなのだが、彼女は知りつつも独自の深謀遠慮で「見猿聞か猿言わ猿」を貫いてくれる。彼女の心配りは嬉しくもあり、ちょっと申しわけない気持ちにもなる。


「どんな物語?」


「『夏の夜の夢』という喜劇かな。いつかお話ししてあげる」


「楽しみにしているわ。謎多き、私の月姫(つきひめ)様」

 西洋での同性愛への偏見は、宗教に根ざすものがあったみたい。その反動かな。今は、ずいぶんマシにはなったかもしれないけど。前世でいうところの体系だった宗教のない世界なのに……。そもそも、性別って、そこまで拘ることかしら? と、今は思えるけど、この時は、どうしようかなぁ〜って。


 そもそも人類に異性愛者が多いのは進化論的な淘汰の結果である、という仮説なんですけどね。ネアンデルタールの同性愛比率とか。比較検討できるものでもないですが。


 「月姫」は、そんなゲームがありましたね。吸血鬼のヤツ。ルナは元々月の女神の名前でもありますが、この物語では、特に「月」関係ないです。


 あと、魔道具の名前ですが、この世界では言霊という考え方があるというイメージです。言葉や文字には魔法がある……みたいな。シェイクスピア「夏の夜の夢」ですが「Re:ゼロから始める異世界生活」のパックは、もしかして、そこからかなぁ〜と思って観ています。活躍する妖精の名なので。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 29/29 ・とりあえず、仲良さそうで何よりです。 [気になる点] ティターニア……ゲームの雑魚キャラでいました。 [一言] そうですね…4人目の仲間は状態異常特化が欲しいですね。5人目…
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