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シュウマツの窓辺に白百合を〜異世界に「あたし最強!」で転生したのだけど、前世のヨメがいた  作者: 里井雪
魔法世界の危機

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束の間の休息

 確かに前世とは全く価値観の違う世界に生まれ、その常識の中で過ごしきた。だが、龍であれ、ハーピィであれ、バンパイヤもおそらくは、元は人。


 いや、人類至上主義はやめよう。どんな生き物であっても、それがいかに崇高な目的のために行われる行為であったとしても、命を奪うことは大きなストレスを伴う。


 人が殺し合うことが日常茶飯事だった日本の戦国時代でさえ、狂気に走った武将が存在する。PTSDを発症したのではないか? との疑いがあるとも言われているのだ。私にはそれがどんなものか具体的には知らないが、確かな使命がある。狂うことすら許されぬ、ということでもあるはずだ。


 それは。それとしてぇ〜。ここドルム領はよい温泉が多数ある。ミュルムバードからの徒歩圏にも、温泉、スパ付きの豪華なホテルが複数営業している。そのうちの一軒。五つ星キラキラの新築ホテル、ヒュルマンホテルのスイートを一週間借り切り、サイドルームにエキストラベッドを入れることで、三人で泊まることにした。


 白亜のモダンな建物のホテルの泉質は炭酸泉。温水プールも完備されている。最近、胸も成長し、うーーん、日本人の標準サイズくらいにはなったわよ。さすがにウケ狙いのスク水もなんだから、ビキニタイプの水着を調達した。瞳の色に合わせたエメラルド色で、胸はやっぱり、ちょっとフリルを。


 ミチコは相変わらずブルーが大好きなようだ。パレオ付きのビキニ。で、三人の中で最高のプロポーションをしているリベカ。げっ、今回は黒のビキニ。少々布地少なめで際どいが、大人な彼女の体型によく似合っている。


 食事も乳製品が大丈夫と分かってから、食べる物のバリエーションが格段に増えた。エビをヨーグルトを使って炒めた物など、今まで体験していなかった味がして、とても美味しい。


 花弁を浮かべた浴室につかり。オイルマッサージを受ける。時々プールで泳ぐくらい。もちろん、クロールなんてしない。ましてやバタフライなんて。平泳で、片道二十五メートルくらいかな、を泳いで、デッキチェアで横になるだけ。このホテルの施設は全て屋内というのも、ありがたい。もうすぐ冬で外は肌寒くなってきている。


 その他、昼間は何もしない、部屋でごろごろしながら本を読むだけ。今回は長くなるので長編を。D&Lエデ●グス「ベルガリア●ド物語」。やっぱり、ファンタジーよいよね。


 読書三昧。昼間はね。隣の部屋のリベカが少し気になるのだが、彼女も大人として理解してくれているはずだ。一応、遮音の魔法はかけてはいるが、一週間夜毎、ミチコとHした。


 ここまで彼女を求めたことは未だかつてない。少し戸惑いながらも応じてくれたのだが、やっぱり、私は少しおかしくなっていたのだろう。木は移植などをしてひどく痛むと、逆に大量の実をつけることがある。そう。自らの死を感じると本能的に子孫を残そうとするのだ。


 私とミチコは百合Hなので、子孫を残す行為とは言えないだろう。だけど、どこか私の妄執の中には、死への予感があるのかもしれない。私は「最強」だ。簡単には死なない。死ねない。だから、この予感は、自死への憧憬ということになる。


 とはいえ、温泉でのんびりしたことは、私、そして私を見る周りにもよい効果を生んだのではないか。ミチコもリベカも私を見る心配そうな目が緩んだ気がする。ストレスを感じ落ち込むのは、自分だけの問題ではない、周りにも随分と迷惑をかけていたのだということを改めて実感した。


 ホテル逗留の休暇を終えてベルフラワーハウスに戻った。今日は、エドムとジャムの帰任日。ギルド本部で報告を済ませた後、久々、五人で夕食を食べようということになっていた。


 ミチコが昆布を手配してくれたので、和風の鍋だ。一応、こちらにでも、タラや白菜は調達可能。コンニャク、豆腐は難しいが、芽キャベツ、人参などを入れる感じで。ポン酢はないので、ソイソースを出汁で薄めて、ライムを絞る。寒い夜には、体が温まって、好適だ。


「エドム、ジャム、お疲れ様」


「二人には悪かったのだけど、三人で休暇を楽しんじゃった」


「いえいえ。ルナさんにはお休みが必要でしたし」とエドム


「心なしか思い詰めた表情が緩んだというか、僕たちもホッとしました」ジャムが受けた。


「さすが、貴方たちもよく見てくれているのねルナのこと」


 ミチコはなんだか嬉しそうだ。


「そんなに、酷い感じだった?」


「ええ。別れ際に、思わず言っちゃったじゃないですか?」


「あの一言は、私の顔を見てってこと?」


「ええ」


「そやけど、兄弟さん。私らはホテルに泊まってたけど、ギルド手配で高級客船で帰ってきたんやろ?」


「ああ、そうなんです。あんな豪華な船、初めて乗りました。ですので、僕らも休養とってますよ!」


「それは、よかったわ。でも、一週間ほどはゆっくりしてね。残り三人は、明日から職場復帰で」


とミチコ。


「明日、手頃なミッションを見繕いに行こっか?」


 どう? 私も結構「成長」したんだから! リベカには完敗だけどね。ところで、ここドルム領は日本と同じように、温泉地が多いのよ。スパも多数存在するわ。


 えーーっと、ドイツに温泉が多いと言うのは、本当のお話です。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 129/129 ・それは。それとしてぇ〜。  ここから素敵。湯気が見えます [気になる点] 死への憧憬、あぁこれは自分には絶対に書けない。 [一言] ミチコが嬉しそうなのが、なんかすご…
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