45話 騒音注意
「ああ、なんかあの子ヤバそうね。今のでモロダメージ受けたみたいだし」
「うんむ……」
「ダーあんた、加護上げなさいよ。このままじゃ新しいもん見ないうちにあの子が死んじゃうわよ」
「それは困るが。あの娘が負けるところを記録ところも興味がある」
「ふざけたこと抜かしてんじゃないわよ。どっちでもいいてんならいい方選びなさいよ」
沌神が転神をどつき、転神は地面にめり込む。
「うんむ……」
地面に半ばまでめり込んだまま転神は悩んだような顔をする。
「早くしなさいよ、昼行燈」
沌神がもう一度小突くと転神は地面に顎先までめり込む。
「分かった加護を与えよう」
転神がそういうとハシバミ色の光が天上から降りてきた。
―|―|―
魔王が繰り出すようになった音響攻撃を防ぐことは不可能。
鼓膜を通じて三半規管を狂わせる上、内臓にもダメージが入るのだから溜まったものではない。
ずきずきと痛む腹部の痛みに比例して、血が口から漏れ出してくる。
態勢を立て直すにもこの叫びの効果範囲から火、氷、影をよけながら撤退しなければならず、あまり現実的ではない。
どうしたものかと、思案しているとハシバミ色の光が降りてきた。
おそらく神の加護。
消去法で行くとこれは転神のものだろう。




