44話 いきなりのシャウト
ハーデスは魔力を爆発させるように放出させると、周りの氷、火、影を吹き飛ばした。
魔王の拳を受けてピンピンしているうえに、こんなバカみたいな魔力を持っている彼を疑問に思わないことも無いが、今はそんなことを気にしている暇はない。
妨害の緩和が通じている間に、攻撃を仕掛けなければならない。
ハーデスの横を通り過ぎて魔王に肉薄する。
魔王が黙って切られるわけもなく、拳がこちらに向けて飛んできた。
剣と拳を合わせるとインパクトが生まれ、腕の骨の軋みと靴底が地面を抉り取る感覚を生じる。
それに抗いながら剣を幾合か合わせると、魔王の背後から武神が接近するのが見えた。
『空の太刀・忘我』
二つの剣がブレたように見えると魔王の身体か大量の血飛沫が舞った。
「これで第三拘束解除か、ここからは俺も知らない領域だ。気を引き締めろ」
武神がそういうと魔王から距離を取る。
こちらもならってそうすると魔王は上空を仰ぎ始めた。
何をしているのだと警戒すると
『ハウルバースト』
この世界を壊さんとするような大音声と衝撃が体を襲い掛かる。
振動によって内臓にダメージが入ったのか口の端に血が流れる。




