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32話 マナーがガバガバな下宿
何者なのか?
こちらにいろいろと指図したペルセポネのことに頭を巡らせるが一向に答えは出ない。
わかるのは私が起こすことの顛末を知っており、それを変えようとしているということだけだ。
奴の言っていることが戯言ではなければ、奴は私の関係者かつ何かしらの手で未来からコンタクトを取ってきていることになるが、いまいち奴のような人間は思い出せない。
一応、未来の私であるという点も考えたが、あまりにも容姿が違い過ぎるのでその可能性は却下した。
私は金髪紫眼、奴は黒髪赤眼。
似ても似つかない。
そんなことを考えていると、コンコンと扉がノックされる音が聞こえてきた。
それからこちらが返事をする前に扉は開けられた。
どうやらここの住民はマナーという概念を誰も彼も損失しているらしい。
「帰れる方法は見つかりましたか? 行き詰ってるようなら師匠を交えて相談に乗りますが」
朝日の中で金色が躍るのが見えると、私が疑惑を持っている男が姿を現した。




