31話 唐突なタレコミ
「何の用だ?」
そうこちらから語りかけるとペルセポネは返事をせずに、中に上がり込み、扉を閉めた。
いきなり二人だけの密室を作り出したことを不審に思い身を起こすと彼女は口を開く。
「帰ってきたのなら私に一言言え。お前のおかげでハーデスと武神が帰ってくるまであまり時間がなくなった」
「何を言っている……。一言言ったが、お前が紅茶に夢中になって気づかなかったのだ。私に非はない」
冤罪肌肌しいことを言ったので、真実を告げるとペルセポネは渋面を作り、「うるさい……」とごちって、近くの机の備え付けの椅子に座る。
「手短に伝える。お前がこれからやらなければいけないことは邪神以外全ての神の加護を得て、魔王を打倒。それから邪神の使徒になり、元の世界に帰還。帰還した後はすぐにガイアに協力を仰げ」
「いきなり何を……。というよりもなぜ、貴様がガイアのことを知っている?」
突飛な命令といきなりあちらのガイアと自分との関係性を見破ったペルセポネにそう疑問の声をかけると彼女は億劫そうな顔をした。
「そこまで話すと長くなる。もうすぐ奴らが帰って来るというのにそれは無理だ。そうしないと起ることだけ覚えておけ。お前は神の加護の重圧に耐えれず魂を磨耗させて消滅。ガイアは記憶と加護を失うことになる」
ひどく具体的で惨いデメリットに眉をしかめ、ペルセポネが何者なのかと訝し気に思う。
「ただいま、帰ってきました」
するとハーデスの声が聞こえ、ペルセポネはこちらの顔を見ずに部屋から出ていた。
一体なんだというのか。




