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30話 P、再び
僅か一日程度のことだというのに、かなりのことがあったように感じる。
おおよそ情報量が多かったせいだろう。
今日だけで、善神の悪行と邪神の頑なさ、神々の争い、魔王の行く末などいろいろなことが明らかになった。
それらの情報は現状を把握するのには役にたったが、好転させる手掛かりはなかった。
今の状況は芳しくないということはわかるのに、なにもできることがないというのが歯がゆい。
魔王が犠牲になってると悟った瞬間に焦りが強くなってるのもそれに拍車を駆けている。
惚れた弱みだという奴だろう。
悶々としながらベッドに横たわり、薄闇の中に溶けた天井を見上げる。
薄く白い天井の面影が見えるだけで、答えなど見えることはない。
しばらく頭の中のものを整理するように今日あったことを思い出していると部屋のドアがノックもされずに開けられた。
誰かと思うとオレンジ色のカンテラの光が、赤い瞳を照らしているのが見えた。




