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26話 激おこプンプン丸
「もしそうだとしたら、大変喜ばしいことですね。もうすぐでこの世からジキルを消せるとうことなんですから」
邪神はそう呟くと、口だけ歪めてほくそ笑み始めた。
他者に対して途方もない悪意を持っているというのに、その笑顔はひどく穏やかで、その矛盾がとても薄気味悪い。
「どうして、そこまで善神を害そうとする。善神にも問題があるのは他の神々から聞いているが、貴様がそこまですることでもないはずだ」
こちらが邪神の憎しみの不当性を指摘すると、彼女は何かを思い出すように俯く。
長い銀髪が黄色の双眸を隠すのを見届けると邪神は口を開いた。
「あなたは人を害する凶器の気持ちが分かりますか?」
それからこちらの問いに答えず、脈絡もなしにそう尋ねてきた。




