23 セキュリティが無ければ、自分がセキュリティになればいいじゃない
軋みを上げる階段を上がっていく、邪神がどこにいるかは溢れ出る邪気からすぐに判別がついた。
二階の廊下の突き当りの扉の向こう。
そこに邪神はいる。
扉を前に行くと一度止まり、息を整えるとドアノブを左手で軽めに持って扉を開ける。
すると眼前に杖が現れた。
あらかじめ心構えをしていたこともあり、セイクリッドを切り上げ、それを弾く。
眼前に目を向けると古びた銃をこちらに向けているのが確認できた。
「すいませんね、善神の使徒は嫌いなのでここで死んでください。『デュアル・エンド』」
邪神の冷めきった声が聞こえると思うと、何かが弾ける音がした。
こちらに向かって射出される銃弾が見えた。
だが、なぜか体が動かない。
何とか動いて避けようとするが空気に縫い付けられたように動かすことができない。
――『簒奪者への懲罰』発動
もがいていると見知らぬアーツが発動し、身体の自由が利くようになった。
理由は分からないが相手が油断している今が狙い目だと思い、地面に踏み込む。
だが邪神を見た瞬間、踏み込んだ足が不意に止まった。
切断した覚えもないのに邪神の手がなくなっていたからだ。
「貴神の加護まで持ってるんですか厄介ですね」




