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18話 邪神被疑者、魔王を使ったチート疑惑が浮上

「お主がたとえ参加したところで、邪神の使徒の魔王が強すぎるから無駄じゃろう。神々が束になってかかってもどうにもならんのだから。お主の使徒なんぞ鎧袖一触で終わりじゃ」


「魔王が帝龍を一匹も殺してない状態ならまだ手はあるでしょ。ハイドがまったく覚醒してないなら最強格ではあるけどまだ人間とか言ってたし」


 沌神の言葉に背筋が冷える感覚を味わう。

 確かに沌神は魔王の覚醒は帝龍によってなされるという意味の話を口にした。

 それはもう自分の居た世界のガイアの覚醒が始まっているということを意味している。

 あの世界で屠られた龍は二匹。

 帝龍をすべて屠れば覚醒が完了すると、ガイアはあと四匹帝龍を倒したらこの世界のガイアと同じような状態になるということだ。


 善神がいっていた『必ずガイアは魔王になる』という言葉は偽りではなかったということ。

 しかも神が束になっても魔王として覚醒したガイアにはかなわないなど悪夢でしかない。

 何とかして覚醒を阻止することは出来ないのだろうか。


「覚醒を阻止する手立てはないのですか?」


「帝龍を一匹でも殺す前に魔王を打倒するか、帝龍を倒されないように見張るかすればいけるんじゃない。後者は帝龍の力が地味に強くて抑えるのにかなりの労力使う上に、魔王自体の相手もして、ハイドの妨害にも対応しなきゃいけないから並大抵の人間では出来ないと思うけど」


「もし帝龍が一匹でも屠られてしまった場合は……」


「その時は諦めた方がいいわね。手持ちの使徒じゃもう魔王の相手にならないだろうから。他の神の使徒と協力すれば何とかなるかもしれないけど。基本的に国で敵対してるから難しいでしょう」


 魔王の覚醒を阻止するのは他の使徒の協力を得なければ不可能。

 どうやらここから無事帰還したとしてもゆっくりはできないようだ。


「お主ら、魔王の事なんぞ話してもしょうがなかろう」


 こちらの世界のことについて頭を巡らせると、貴神は眉をしかめて話の軌道修正を始めた。


「今、妾たちは神について話をしようとしておるのだぞ。それだというのに帰蝶は……」


 貴神は言葉をわざと途切れさせて、沌神に恨みがましい目を向ける。

 その先に居る沌神は「悪かったわね」と言って頬杖を突く。

 その様子に貴神は青筋を立てると、意地の悪そうな笑いを口に浮かべた。


「帰蝶、貴様悪いと思うなら妾に親しい邪神のことを洗いざらい申してみよ。本当に悪いと思うなら造作もないことよな」


 おおよそ沌神を詰るための枕。

 親しい友を裏切らないためには悪いと思ってないと返事をする以外の言葉の選択肢は沌神には存在しない。

 貴神はその矛盾を狙っているのだろう。

 流石に沌神も返事に窮するかと思ったが、思いの他に


「いいわよ。洗いざらい言ってやろうじゃない。別に後ろ暗いところなんてないんだから余裕よ」


 と答えた。

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