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7話 だめだと思ったけどやった。後悔はしていない

「拘束解除ゼロ。今回は甘めだったな……」


 衛兵詰所に辿り着くと武神は粗末な椅子に腰を落ち着かせ、葉巻に火を点け始めた。

 その様は本人から漂う爛れた雰囲気からかよく似合っている。


 ハーデスは今日からここで生活をするのだから顔合わせをしたいといい、詰所の奥に向かってしまった。

 故にここでは二人きりだ。


 口から吐かれる紫煙が天井に三つばかり上昇していくと、武神は目ざとそうな眼をこちらに向けてきた。


「何か不満があるのか?」


「いえ、あの者達に任せて我々が退却してよかったものかと……」


 武神はこちらの言葉を聞き、いまいち理解できてないような顔をし、葉巻を咥えなおすと納得した顔になる。


「ああ、あの金髪は貴神『黄帝』ていう神だ。基本死なないから気にする必要がない。死んだらざまあねえと思てればいい」


 ひどいいいようだ。

 別段仲は悪く似ないように見えたが、何かいちもつを抱えているらしい。

 突っ込んだ質問をしようかしまいか少し迷いが生じる。


 質問をしなくては何も分からないが、目の前の武神の様子からすると語りたくなさそうだ。必要故とはいえ、相手に苦痛を強いるのはどうだろうか。


 私の中で必要故に聞けという理性と、苦痛を感じさせたくないという感情が対立する。

 さてどうしたものかと思うと、詰所の奥からハーデスと黒髪赤目の少女が出てきた。


「お待たせしてすいません。顔合わせを早くすせておきたいと言ったのは僕だというのにかえって時間をかけてしまって。では顔合わせをしましょうか」


「私はお前のことが嫌いだ」


 ハーデスが音頭をとるとそれを真正面から打ち砕くように、少女が私に向けて告げた。

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