3話 法律をも無視する俺ルール
赤い何かのいる燃える大地の向こうは熱で歪み、判然としない。
だが目を凝らしてみると目の先にいるものが人型であることがわかる。
あれはガイアなのだろうか?
あの低いがよく響く声音と、魔王と呼ばれる存在。
そんなものは奴しかいないはずだが、私には今一つしっくりこなかった。
あの冷え切った魔王と物理的にも心理的にも暑苦しそうなあの赤い存在とは根本的な何かが違う。いや正反対といってもいいだろう。
拒絶と肯定。
マイナスとプラス。
絶対と相対。
そこまで行くと、どこかイマイチ明確にならなかった違和がはっきりした。
あの赤い存在はまだこちらを同じ領域に居るものとして捉えているが、ガイアにはそれが無いのだ。
ガイアは他人の存在など歯牙にもかけない。
視線を群れることさえ、稀だ。
やはりこちらの存在を認め、攻撃をするように発破をかけたあの赤いものとはガイアは違う。
疑念を晴らした私はセイクリッドに手をかけると抜刀し、正眼に構える。
「いい選択だ。それなら魔王のアーツ『禁術』に抵触しない」
「禁術?」
「名前の通り、相手の行動を禁じる業だ。さっき奴が大音声で、宣言していたまさにそれだ。俺たちは今、戦う以外の行動を禁じられている」
その言葉で、あの赤いものとの戦いは避けられないということを理解した。




