16話 磔系デイサービス
俺に向けて、ノンストッパブルな老人が特攻をかけてくる。
いきなりの事だったので、俺は避けられずに、そのまま老人ときりもみしながら地面を転がっていく。
このままでは玉突き事故不可避だ。
俺はそれを阻止するために脚を伸ばして、摩擦を強くなるように工作をする。
すると多方面に迷惑をかけていた俺の足が地面にひかっかり、いい感じに制動がかかり始めた。
このまま止まるのではないかと一瞬考えたが、途中で石に引っ掛かり、見事ご破算になった。
俺は地面とキス。おじいちゃんは壁と抱擁。
見るもおぞましい光景が作りあげられた。
俺は壁にめり込んでピクピクしているおじいちゃんを眺め、絶句するしかない。
元気なおじいちゃんだし、若干痙攣してる節も無いことはないことはないが、大丈夫だろう。
俺は凄惨な事故現場から離れることにする。
「魔王、大丈夫か?」
俺が救護義務を放棄して、幼女のママのヒッチハイクに向かおうとすると、ファーザーが現れた。
タイミングが最悪だ。
誤解を招きかねん。
「心配する必要もなかったようだな。正義の鉄槌が下ったか。やつはどうする?」
「そうですね。弱っているようですし、介助して上げてください」
俺はとりあえず、自分は救護義務放棄するつもりはなかったという意思表示にそう答える。
そうするとファーザーはこくりと頷いた。
「処刑せずに情報を引き出せということか。腐った性根を叩き直す介助もしてもかまわないか?」
どうやら奴はおじいちゃんが気に入ったらしい。おじいちゃんには申し訳ないが、その気になったホモを止められない。
「ええ、好きにして構いませんよ」
俺がそう返事をすると、ファーザーは取り巻きを呼んで、おじいちゃんを丸太の十字架に磔にし始めた。
聖国のタンカーは特別性らしい。
「さて、捜索を再開しましょうか」




