2話 ママを求めて3万里①
俺はホモに負い目に感じながら、ウォージマの後をついていく。
ウォージマの後をついていくと食堂に案内される。
ウォージマは下座に前に立つと上座に行くように手で俺を促した。
いかんな、見た目がアウトロー感半端ないせいか、対応が丁寧だとろくでもないことを頼まれる気がするな。
俺は少し警戒しながら、上座に座ると用意された食事に目を落とす。
紅茶にスクランブルエッグ、サラダ、ベーコン、そして主食のパン。
いつも通りのイクター家の朝餉だ。
パンに金貨がいっぱい挟まっていたり、紅茶の中に金貨が沈んでいることはない。
どうやら違法なことをやらせようという気はないらしい。
「では早速、本題に入りましょう。偽王女の身辺を洗ったところ、あの者が赤子の時にガクエンの紋章がつけたものからスラム街に捨てられ、その後も幾度かガクエンの者から接触を受けていることがわかりました」
至極真っ当な報告だな。
うさんくさいと思ったのは俺の警戒し過ぎだったらしい。
それにしても幼女のママとパパの生息地が分かってよかったな。
これで擦れた幼女の心が救われる。
「そうですか、ではガクエンに向かう必要がありますね」
「向かうって……。ガクエンは聖国ですよ? 簡単に干渉は出来るものではありません。その意味が分かっていますか?」
ウォージマはこちらを訝し気な眼で見てくる。
どうやら幼女がパパとママの下にアイルビーバックするのが気に食わないらしい。
こいつもロリコンか何かか。
「そんなことは小さなことです。成すべきことがあるのですから」
俺がウォージマに取り付く島はないぞとアピールすると奴は目を見開く。
「たったあれだけの情報で偽王女の一件の全てをあなたは把握したというのですか!?」
「無論です」
ウォージマはトンチンカンなことを言って、俺の思考を混乱させようとするが、それに怯む俺ではない。
ピンクどものお陰で俺の妨害スルースキルはカンストしているからな。
多少の妨害ではびくともせんよ。
「類まれなる頭脳、確かに噂と寸分違わないようですね……。して私たちはどうすれば?」
「必要ありません。僕と護衛と幼女が居ればそれでこと足ります」
「グッ! 実質あなた一人で今回の首魁を叩き潰すというんですか? 本当にそんなことが可能だと?」
ウォージマは幼女が連れ出されそうになって、少し精神が不安定になっているようだ。
幼女の両親を叩き潰すとメチャクチャだよ。
ロリコンのあんたしか得しないよ。
ウォージマはロリショックに襲われて、話を続けられる状態じゃないな。
「話は十分なされました。私は行動に移らさせてもらいます。では」
俺はウォージマにそう言い置くと、幼女を取られたと思ったのかぐぬぬ顔をしているウォージマの横を通り過ぎて食堂から退出する。
ささっと幼女の件を終わらせて、ホモとアダルマンティーのことをどうにかせねばならんな。
昨日のホモの取り乱しようを見ると、婚礼の日に突撃して来て、流血沙汰になりかねんし、ホモの気持ちを適当に誤魔化すのはなんかダメだと思うしな。
幼女の送迎中に何か考えておくか。




