エピローグ① パチモンゲットだぜ!
いきり立った幼女とそれと対面する俺。
どうやら、幼女は地味に兄マンティーのことを気に入っていたらしい。
変態でも結局、顔次第かよ。
世の中イケメンに優しすぎだろ、チクショウ。
幼女のお陰で地味にイライラマックスだが、親御さんの為にも彼女を送りかえさねばならない。
幼女から住んでる場所を聞きだしたら、ガチムチたちに頼んで送迎してもらおう。
たったと済ませるために単刀直入に切り込む。
「どこに住んでるんですか?」
「地獄みてえなところだよ」
幼女からはロックな返事が返ってきた。
これはあれだ。無理だ。
会話が成立しない。
俺にはロックな幼女は荷が重すぎる。
ウォージマと一緒に竜の死骸を指さして何か話しているロリ専門家の兄マンティーに目を向ける。
奴は俺の意を理解したのか、一つ頷くと幼女の前に進み出た。
「お前は国家反逆罪だ。だが、今回の件は我にも問題があった。よって沙汰は問うことはしない。お前も自分の罪と向き合うがいい」
何かめちゃくちゃ上から目線なことを言うと、ウォージマのところに戻って、また竜の死骸を指さしながらあーだこーだ話始めた。
一方の幼女はぐぬぬ顔して、今にも兄マンティーに殴り掛からん様子だ。
何も解決してない。むしろ悪い方にすすでんじゃねえか。
くそ、もう一生専門家なんて信じねえ。
俺は幼女が早まって拳を変態の血で染めないために、牽制でラブ・サンシャインを打っておく。
幼女の身体能力はあまり高くないのか、避けようとバックステップを踏んだが、避けきれずに、彼女の腹に直弾。
彼女はたららを踏むと、こちらに駆け寄ってきた。
「パパ!」
足をホールド。
こんなときにテイム成功だよ。
基準がわかんねえな、このアーツ。
まあいいや、こっちに心開いてるし、先より円滑に会話できるだろう。
「家はどこ? お母さんとお父さんは?」
「家ない。お母さんもお父さんもいない」
円滑に会話できない方がよかったな。
幼女の闇を知ってしまった。
「そうかじゃあ、そうだね……。あそこのガチムチたちと遊んでやってくれるかな? 彼らはタンパク質が体にしか行かなくていつもカリカリしてるんだよ」
「うん、わかった」
幼女はガチムチたちの下にダッシュしていた。
なにも解決してないが、これが一番いい選択な気がする。
「ものども聞けえ! 我が国の帝龍、氷絶龍ピュトンが死んだ。これからここの領主、さらに討伐者との話合いを行う! 村コンは中止だ!」
しばらく幼女とガチムチが笑顔で戯れる様子を見ていると、兄マンティーがそんな宣言をした。
村コンを中止などここでいうのはまず過ぎる。
ここには二人の村コンガチ勢が居るのだから。
「勝手に決めるな、小僧」
「いや、それでいいでしょう……」
精霊様とカエサル二人ともキレると思ったが、以外にもキレたのは精霊様だけだった。
精霊様が何言ってんだこいつみたいな顔をすると、カエサルが言葉をつづけた。
「だって、これ以上村コンで醜い争いを続けてもしょうがないでしょう。このまま平行線をたどるだけだわ。誰が悪いじゃなくて、二人とも悪いのよ。ねえ、分かるでしょ、メっちゃん?」
なんてしたたかな女だ。
ポイント全損したことで不利を悟って、全損したことを隠したまま、両成敗にしようとしてやがる。
まあ、俺も全損したの隠してるけど。
「うーん。じゃがな、しかし――」
「そうよ、そうよね。まずは言い出しぺのあたしから謝らなきゃ。メっちゃん、ごめんなさい!」
カエサルは精霊様がごねるのを妨げて、強制的にお互い謝らなきゃいけない空気感を演出する。
流石の精霊様も頬に汗を流して、この空気からは逃れられないようだ。
「く、儂も悪かった。すまん、カエサル」
精霊様があやまると、カエサルが「メっちゃん!」と言って抱き着き、「カエサル!」と言って抱き返して、仲直りしたバカップルみたいなことをし始めた。
バキィ!
なんかへし折れる音がすると思って、そちらを見るとへし折れた扇子を持って、暗黒微笑するクリムゾンがいた。
クリムゾンが二人に近づくと
「二人ともどういう関係なんですか? まさか私をまた裏切ったわけじゃないですよね。信長様。あちらで三人で話合いましょうか」
このネトラレイツォォォォ! 容赦せん!みたいな感じで二人の首根っこを掴むと森の中に引きずり込んでいた。
悪は滅びた。




