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国で暗殺されそうなので、公爵やめて辺境で美少女専門テイマーになります  作者: スイセイムシ
テイマー条約第3条 生育環境は整えなければならない
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8話 『ガチムチリターンズ』




「こんなところになして氷絶龍が来たんだ。まだ大寒気が来るのは再来週のはずだのに、まだ起きても無いはずだべ!?」

「村は終わりじゃあ!! まだほとんど作物の収穫が出来とらんというのに……! このままじゃ、氷絶龍の冷気で全部だめになっちまう!! 大飢饉が起こちまう!!」


 農家のおっさんたちは突然の珍客にハイテンションだ。

 頭を抱えて、パンクなダンスを踊り始めている。


 村に迷いこんだら、いきなりおっさんたちの奇行を見せつけられる竜さんが可愛そうだ。


「ガイア様! 遅れて申し訳ありません! ただいま、死灰龍の骨と宝玉を届けにはせ参じました!」


 俺が竜に憐れみを抱いていると野太い声が後ろから聞こえた。

 振り向くとペイルズで行動を共にしたガチムチたちが竜の骨と宝石をデカい荷車に乗せてこちらに近づいていた。

 こいつらは何で、竜の死骸をここまで持ってきたんだ。

 いらないから、村においてきたというのに。


 ガチムチたちの不可思議な行動に疑問が生じたが、俺はすぐになぜこいつらがこんな行動をしたのか前回の行動を思い出し、見当がついた。


 サボタージュのためだ。

 きっと、ガチムチどもは俺と行動をすることで、サボタージュの喜びを知り、忘れ物を届けるとかいう理由で職務怠慢を繰り出したに違いない。


「あなたたち……。仕事しなくていいんですか?」


 俺が職務怠慢のことについて詰ると、ガチムチたちはなぜか作物の方を見て、何かに気付いたような顔をして、ダッシュしていく。

 ガチムチたちは凍り付いた作物に近づいていくと、赤い奔流を体から放出して解凍していく。

 どうやら腹が減っていたようだ。

 自由すぎるなこいつら。


「作物のまとわりついた氷を近づくだけで、溶かしよった! 太陽の御子様たちじゃ!」


 作物を狙い始めたガチムチたちに農家のおっさんたちはきれるかと思ったが、ガッツポーズで感涙の涙を流している。

 どうやら、ここらでは竜とガチムチは天然記念物ようなみたいのようだ。


「儂の進路を妨げるのか、貴様!」

 

 先から薬やってんじゃないかと思うくらいハイテンションな農家のおっさんに目を奪われていると精霊様の不機嫌な声が聞こえた来た。


 見ると深紅のオーラをクリムゾンとともに体の周りに放出させていた。


「やるぞ! クリムゾン、あれは儂らの敵じゃ」


「はい、メリットビリーブ様!」


 気の短い精霊様がついにぶちぎれたようだ。

 薙刀を持った桃髪美人に化けたクリムゾンとともに、罪のない竜さんのもとに突撃。

 竜さんがあまりにも哀れすぎる。


 俺はZ子、ガリアシーザーズのメンバーとそれを観戦していると、カエサルが声を上げた。


「く、流れ玉が! ああ、私の九万ポイント……!」


 そちらを見ると氷を胸に張り付けたカエサルが、カチンコチンになって砕け散った小切手を見てわなわな震えていた。


 カエサルには申し訳ないが、これで竜さんとの戦闘を終えた精霊様も気分を持ち直すだろうから俺としては僥倖だ。

 安穏とした気分で観戦を続けると、クリムゾンが竜の胸に薙刀を押し込み、止めをさした。


 終わったかと思うと、竜さんがまさかのこちらにダッシュ。

 Z子とアダルマンティーが飛び出して、剣と拳で取り押さえる。

 竜はこちらに腕を伸ばしてきたが、こちらの頬に血を飛ばすだけで届かずにその場でこと切れた。

 おそらく、最後の花火に一番弱そうなやつをブッコ〇しようとしたのだろう。

 可哀想と思っててやったのにとんでもないヤツだ。


 あれ、なんか胸元がちょっと冷たいな。

 嫌な予感がする。


 表面上は異常のない服の懐から小切手を取り出すと、外気に触れた瞬間真っ二つに割れた。





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