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国で暗殺されそうなので、公爵やめて辺境で美少女専門テイマーになります  作者: スイセイムシ
テイマー条約第3条 生育環境は整えなければならない
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5話 『ガイアさん! ナゼミテルンデスカ!』




「ガイアア、何やってんのよ! 下げパンでスカしてる場合じゃないなわよ! パンツ上げなさいよ、パンツ!」


「やれええ! 仮面Z! がら空きのボディにスラッシュじゃああ!」


 仮面Z子さんのキンキラキンソードに小突かれつつ、俺は食器屋の店主に見事にたぶらかされたことを思い出し、げんなりする。

 奴がポイントを渡す約束をすっぽかしたせいで、精霊様の機嫌が斜に傾き、機嫌を取るためにZ子さんがチャンバラをやろうと提案してきた始末だ。

 チャンバラのはずなのに、Z子さんの剣はゼウスちゃんの剣よりも痛い。


 本気で殴って来てるだろ、こいつ。

 日々のストレス溜まってる系OLかなんかか。

 剣を通しての門答で隣人の闇に気付いてしまった俺は、手を前に突き出して静止を掛ける。


「さすがにいつまでもここでチャンバラをしているわけにもいきませんし、食器屋の店主の件を露天商の代表に相談に行きましょう。不正をほっておいてもいいことはありませんし」




―|―|―




 俺たちはチャラくて陽気でパーリナイな参加者に露店所の代表の居所を聞くと、コロシアムの近くの屋敷に居るということだった。


 コロシアムの近くに足を運ぶとそれはすぐに分かった。


 門のサイドに備え付けられたガーゴイルの像、

 その内側に広がるこじんまりとしているが手入れの行き届いたバラ園、

 さらにその奥の屋敷の前にはなんかゴテゴテとした竜が立つ台座から水を噴き上げる噴水、

 そしてこちらを包みこむようにして立つ大きなコの字型の邸宅。


 それは如何にもザお金持ちといった感じのもので、ここらの質素な建物の中ではとても豪奢なものだったからだ。


「うむ、詫びも寂びもあったものではないな。これが人の住まう家など思えん」


「まったくですよ! メリットビリーブ様! やっぱり、家には鹿威しですよ!」


「のう、帰蝶」


 精霊様がクリムゾンの言葉にそう返すと、キラキラした目から一転、クリムゾンの精霊様を見る目がごみを見るような目になった。


「誰のことをそう呼んでいるんです、信長様(・・・)? まさか私のことを?」


 幼女の姿から桃髪の和服美人に姿を変えると、扇で口元を隠し、冷ややかな目だけを精霊様に見せる。

 精霊様は少し額に汗をかくと、口を開いた。


「いや、そんなわけなかろう。お主はクリムゾンじゃ。下らんことを言った、すまん」


「謝らずとも結構ですよ。些事ですので」


 カエサルの時のように言い合いになるかと思ったが、精霊様は素直に謝った。

 一方のクリムゾンは謝られても、言葉とは裏腹に扇で口元を隠したままツンとしている。

 どうやらキチョウというのがクリムゾンのNGワードらしい。


 精霊様はなんてとこで地雷を踏んでくれるのだ。

 今から露店商代表をヘイコラして、相談に乗ってもらうというのに。

 こんなことではヘンテコ噴水の前で立ち往生になってしまう。


 すると目の前の屋敷の扉が開いて、おっさん二人が出てきた。

 一人は白髪を後ろに束ねた総髪の知らん人、もう一人は食器屋の露天商だ。


 俺は全てを悟った。

 食器屋のおっさんが代表にゴマ擦って問題をうやむやにする気だったということだろう。

 ピンクの機嫌が悪いとか気にしている場合じゃねえ。



「あ、アニムゾンさん! あなた、私を監視してたんですかあッ!?」


「そうですよ!(憤怒)」


「ヒ、ヒィィィィ!!」


 青ざめた顔で動揺し、なぜか精神崩壊する食器屋のおっさんを無視し、代表を睨みつける。


「すいませんね。代表、話があります。ちょうど面子もそろっていい塩梅でしょう?」


 俺がそう相談を持ちかけると代表は青ざめた顔で震えあがった。





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