16話 トーナメントの兆し
「研究資金を俺に融資したい連中は俺のとこにこい。ただしその場合俺による審査を受けてもらう」
茶髪マンはふんぞり返りながらそんなことを宣う。
融資してもらう側だというのに、とんでもないヤツだ。
誰も融資しないだろうな、コレ。
「融資するぞ、ガイア!」
マジか……。
「そうですねゼウスさん、早速審査とやらを受けて見ましょうか」
「お前らよくやる気になったな」
黙れ、青ダヌキ!
こうなっちまったゼウスちゃんはもう止まらねえんだよ!
「落ち着いてくださいアンドーさん。彼が帝龍の所持者であるのですから穏便に対処することに越したことはないでしょう」
「今強奪した方が穏便な対処になるんじゃねえか?」
「強奪が穏便なわけないでしょう。アンドーさん、あなたは塔の上から紐なしバンジーをして、もう一度穏便さについて考え直してください」
「なんだろうな、俺はお前の言葉を聞いてると穏便さってなにかわからなくなってきたよ」
アンドーがなんとも切ない顔でこちらを見てくる。
奴も穏便さについてやっと理解したようだ。
「頼もう! 転神、融資の申し出をしたい!」
「……貴様はカタストロフダージリンのセンター」
アンドーの成長にしみじみとしているとゼウスちゃんが茶髪マンに申し出をし始めた。
「俺に融資をしたいというのなら貴様らがもっともアイドルで新しいものだという証明をしろ」
「新しいものだという証明だと?」
ゼウスちゃんは唐突にわけの分からんことを言い始めた茶髪マンに答えを窮する。
すると人垣の向こうから高い声が朗々と響いた。
「そこで口ごもるとは所詮はカタストロフダージリンね」
人垣が分かれて声の主の姿が見えるかと思ったが、野次馬どもは微動だにしない。
「邪魔よ、あんたら!」
ボコォ!
殴るような音が聞こえると人垣がどっかに吹っ飛んでいく。
「新しい証明がしたいなら新人アイドルトーナメントを開けばいいのよ!」
「貴様は沌神!?」
「あんたへの融資あたしも立候補するわ」
躍り出てきたピンクはそんなことを言って、融資を申し出てきた。
「1週間後にあたしがトーナメントを開くからアンタらも来ることね」
そんなことを言うとピンクは嵐のような速さで帰っていた。




