10話 確定演出は唐突に
早朝、孤児院の風見鶏の上に考える姿勢をして鎮座しているパパとその上で爆睡するゼウスちゃんを発見した。
ゼウスちゃんの寝相のせいで、パパが被害に遭うのも日常風景になってきた。
慣れてきてはいけないことに慣れ始めてきたことにもの凄い危機感を感じる。
「うおお……、今日もすげえな。昨日のバベルの塔より技巧が巧みになってる」
「アンドーさん、感心してる場合じゃありませんよ」
俺はどうしたもんかと庭を忙しなく歩き回る。
客足も増え、ドメスティックバイオレンスに並び立つと言われてもまだ足りないというのか。
くそお、これ以上何を……。
そんなことを考えていると孤児院の壁に矢文が刺さっているのを発見した。
ハ、ハート柄の便せん!?
もしや……。
中を開けて見る。
そこにはこう書かれていた。
――とても大切なことを伝えたいと思います。
――夕暮れ時、一番高い丘に来てください。
――待ってます。
――あなたの隣人より
「……」
俺はひとまず、その聖遺物を懐に畳んでしまう。
それから少し動揺で乱れた呼吸を整える。
スー、ハー、スー、ハー。
次に大きく息を吸う。
スーー。
「……」
一番高い丘を見つめる。
「キタアアアアアアアア!!!」




