8話 紅茶と麦茶の見分けがつかない
「それは紅茶じゃねえ!」
カタストロフダージリンもメンバーが多くなって壮観になったな。
前から百人くらい増えたんだから、当たり前か。
「麦茶!」
というか歌詞ひどいなこれ。
―|―|―
ライブが終わったので控室に向かう。
すると途中で白い髪の女の子が俺に悪質タックルを仕掛けてきた。
「いけなーい! キール、ぶつかちゃった、テヘ✩」
なんだこいつ……、不審者か……。
「すいませーん、衛兵さん、ふしん」
ボコォ!
「やめて! なんでいきなりそんないじわるするの!」
グーパンされただけなのに、なんで俺が悪いことに……。
こいつはあれだな、下手に刺激しちゃいけない奴だな。
「プロデューサーさん、お詫びに私をカタストロフダージリンに入れて」
「えぇ……、でももう人数足りてるし」
こんないかにも地雷系女子みたいな感じの奴を入れたら、どうなるのか分かったもんじゃない。
比較的まっとうなハーちゃんでもあれだったからな。
てかこの子、ハーちゃんにめちゃくちゃ似てるな。
「ケチケチしないで、プロデューサーさんモテないでしょ!」
「な、何を言って……。僕はモテモテですよ」
「嘘! 私さっき、プロデューサーさんがテイムして失敗するところ見たんだもの」
「それは僕のドッペルゲンガーです。僕のようなハイスペックな人間がそんなことあるはずないでしょ」
「でたらめ言わないで! 本当は婚期も怪しいでしょ、私知ってるんだから」
「なぜそれを!? 僕を脅迫するつもりですか」
「脅迫じゃないわ、皆に言いふらすだけよ」
やっぱり脅迫じゃん。
「僕は脅迫には屈しません。早速あなたをカタストロフダージリンに入会させましょう」
「やったあ!」