7話 無駄に卓越した煽り
「はい、こちら新人のハーちゃんです。皆さん仲良くするように」
「わー、シンジンだあ」
理不尽エルボー首ゴキィ!
「グハア!」
ええ、ゼウスちゃん、人が言った傍からエルボーした……。
まだ何もしてないのにハーちゃん満身創痍だよ。
「おい、新人テメエ! アイドル舐めてんじゃねえぞ! 意味もなくキャピキャピしやがって。ここに入る、つまりアイドルになるにはなあ、お前はメンバー全員から繰り出されるグーパンに5分間耐えなきゃいけねえんだよ!」
いや、そんな入会ルールねえよ。
どこのギャングの入会式だよ。
「いや、アンドーさんそんなルールありませんよ」
「うるせえ、今作ったんだよ! ガイア、お前プロデューサーだからってメチャクチャ言ってんじゃねえよ!」
いやお前が一番メチャクチャだよ。
新人加入で気色ばんでるな、こいつら。
何とかするか。
「二人ともいい加減にしてください」
ボコォ!
「痛ァ! ガイア何をする!? 私は何もしてないぞ!」
「いやエルボーしてたでしょ!? あなた記憶喪失ですか」
「私はそんなことはしていない!」
ええ、真面目な顔して大嘘こいたこの人、マジか。
「やってましたよ」
「私はやってない。証拠を出せ、証拠を」
「エルボーやった証拠なんてあるわけ……」
「ねえ、ねえ! 証拠を出して! ねえ、ねえ! 出せないんだよね! ねえ、ねえ!」
腹立つ、何そのねえねえラッシュ……。
だがここでキレたら奴の思うツボ我慢しなければ。
「ゼウスさん、そんな低レベルな煽りを僕はどうとも思いません。表に出なさい」
「私を無実の罪で折檻する気か、鬼畜、人でなし」
「聞えない! そんな低レベルな悪口俺には聞えない!」
「お前ら孤児院の中で昼間からなにをしている」
俺がゼウスちゃんを外に引きずって行こうとすると、パパがちょうど外から帰ってきた。
「働け」
すると全員まとめて外に放り出された。