1話 ヤリスギスクランブル
途上国の森林保護区と言う訳の分からない土地に着陸した我々は、いきなりわが父ディゼル・フォースとエンカウント。
パパは若い女性を血走った眼で追いかけ、小屋に追い詰めていた。
ぐうの音のない出ないほどの犯罪者だ。
状況証拠的にあれだったか、何か深い訳があると思って、協力したらいきなり相手にドロップキックをかました。
もはや語るに及ばず、そのまま拘束した。
「父上、もう何が何だかチンプンカンプンですよ。何で若人たちにバイオレンスをくり広げているんですか?」
「それは俺がコマンドーだからだ!」
「何言ってんだ……。このおっさん」
俺が困惑しているとゼウスちゃんが近くに散らばっている手帳的なものを拾った。
「なんだこれは。ヤリスギスクランブル社訓? 第一項、誇張第一主義。第二項、捏造万歳……」
「そりゃ、報道記者の手記じゃねえか。何でそんなもん? は!?」
心底興味のなさそうな様子でゼウスちゃんに返事をしたアンドーが何かに気付いたしまったような顔をした。
「今日の俺は冴えてるぜ……。報道記者、バイオレンス、父……。全部つながった! このおっさんこの国で浮気して、それをヤリスギスクランブルされたんだよ!」
この青ダヌキなんて出まかせ言ってんだ、いい加減にしろ!
「そんなわけないでしょ、ねえちち」
「パパァ!」
「え!?」
謎のパパコールにびっくりして見ると建物の中から幼児たちがいっぱい出てきた。
なんだ、あれは!?
「ほら見ろ! 隠し子だ! お前の父親はここでズッコンバッコン大騒ぎしてたんだよ!」
「そ、そんな。こんなところで第二、第三のガイアを……。嘘だあぁぁぁ!」
俺は絶叫してパパの方を見ると、一生懸命な顔つきで隠し子たちが縄の解除に掛かっているのが見えた。
この一生懸命さ、実子に違いない。
「ディゼル侯爵あれは本当なのですか?」
「なわけなかろう。こいつらは孤児院の子供たちで俺はその面倒を見てただけだ」
そう確信するとゼウスちゃんに質問する声とパパが淡々と答える声が聞こえた。
うん、あいつら実子じゃないわ。
とりあえず、タヌキは絞めよう。