プロローグ おいでよ、幼女牧場
途上国、ハイド孤児院。
ディゼル・フォース将軍はディオグランドの大使としてその場にとどまり、孤児院の運営に尽力していた。
「潜伏訓練終了! 貴様ら、宿舎に戻れ!」
「イエス、サー!」
英才教育を受け、そこらのモブにしか見えない完ぺきな擬態を習得した孤児院の子供たちが一糸乱れぬ動きで宿舎に帰還する。
するといきなり孤児院の周辺に人がわらわらと人が集まり始めた。
「ヤリスギスクランブル! 今日はイースバルツの大使フォース氏の運営する幼女牧場についてのスクープです!」
孤児院のことについて偏向報道をしまくるマスゴミたちだ。
「ゴラアアアア! 貴様らあああ!」
「見てください! 幼女牧場の運営者が雄たけびを上げて接近してきます! 存在自体が重大インシデントです!」
ディゼルはすかさずマスゴミとの距離を詰めると、自分の才能コマンダーのアーツを発動する。
「スカウトォォォ!」(右ストレート)
ボコォ!
「ギャアアア、タダの暴力ううう!」
「スカウトォォォ!」(左ストレート)
ボコ、ボコォ!
「うわあ、このおっさんめちゃくちゃだああ!」
逃げ惑うマスゴミたち、ディゼルはそれに一人残らずスカウトを掛けて、宿舎の中に放り込んでいく。
そこまで行くとディゼルはマスゴミの人数が一人足らないことに気付いた。
宿舎から飛び出して、周りを見渡す。
するとブッシュの中からこちらに向けて光を反射するモノが見えた。
人の目だ。
「そこかああああ!」
「キャアアアアアア!」
ディゼルがブッシュにダッシュしていくと、女が飛び出して逃げていく。
「待ってえええええ!」
「嫌あああああ!」
逃げ惑う女性を追いかけるおっさん。
そこには通報待ったなしの光景が出来上がっていた。
追い駆けられた女性は近くにあった小屋の中に身を隠す。
がディゼルは目ざとくそれをすぐに発見すると、圧を掛けるために連続ノックを開始する。
ダン! ダン! ダン! ダン! ダン!
「やめて! うら若い乙女を追い駆けまわすなんてこんなの変態よお!」
「そうだ! 俺は変態だ! そこを開けろ!」
ダン! ダン! ダン! ダン! ダン!
「父上、何をやってるんですか……?」
するといきなり息子の声が聞こえ、振り返ると息子のガイアとその幼馴染のゼウス、なんかよくわからない異国の民がいた。
ガイアはドン引きした顔をし、ゼウスは「やべえもん、見ちまったよ……」みたいな顔をしている。
仕方ないので弁解する。
「ごみ処理をしている! ガイアこの扉を開けろ!」
「えぇぇ……」
そういうとガイアは困惑しつつも扉に貫手で貫くと、持ち上げて蝶番ごと外す。
「スカウトォォォ!」(ドロップキック)
こうして今日も孤児院の平和は守られた。