25話 激レアテイリュウ
「いまだ!」
帝龍に向けて網を射出する。
すると見事網に手ごたえが。
「おお、今度こそ!」「やったね!」
アンドーとマリーナの激励を受けながら、網に掛かったものを確認する。
中には……
「テイリュウ№1125.ソウトク―、激レア。やったね、ゼウスちゃん! 激レアテイリュウゲットだよ!」
ボコォ!
ガイアが入っていた。
―|―|―
「ゼウスさん、あらぬ疑いです! 僕が竜捜索をすっぽかして、政府のことに介入していたなど」
「じゃあ、あれはなんだ?」
無表情のゼウスちゃんは爆心地みたくなった政府を指さした。
「いや、僕は竜を捜索していたのでそんなこと……」
「あははは! そういえば政府でガイア君会ったね!」
やだ……、もうこんなの耐え切れないよ……。
ゼウスちゃんはしばらく俺を無言で鋭い眼光で見つめると、口を開く。
「どういうことだガイア……?」
「そ、それは……」
パン!
「もういい……」
ゼウスちゃんはネットを地面に叩きつけると、背を向けて遠くに歩いていてしまう。
流石に傍目にも怒っているのがわかったので、声を掛けられない。
「お前、あと追いかけてフォローして来いよ、流石に今のはまずかっただろ。半泣きだったぞ、あいつ」
しばらく見つめていると、アンドーが頭を掻きながらそう口ばしる。
ゼウスちゃんの眼光が鋭いなと思ってたら、涙ぐんでたのか。
そうか、さすがに悪いことしたな。
たかがペット集めとか思っていたが、本人にとってはよほど大事なことだったのだろう。
「すいません、後を追いかけに行ってきます。アンドーさんたちはここで待っていてもらえますか」
アンドーにそういうとそっぽを向いた。
「すいませんじゃなく、ありがとうて言えよ。アドバイスやったのに損した気分になるだろうが」
「あなた、恩着せがましいですね……」
「……」
「……ありがとう」
思いの外、人から言えと言われて「ありがとう」というのは恥ずかしかったのでそのまま、返事を聞かずにその場から離れる。