15話 トンデモネエ神話列伝
「ガイアァ、なんじゃそのメガネはあ……。メガネを掛けても、急に頭はよくなら」
「サインコサインタンジェント……。すいません、その女神像あと右に5度動かすとどこからでも正面が見える形になりますよ」
「なにこいつ超頭良い……」
―|―|―
休憩を入れてからまた講座が再開され、三分の二くらいは夢の世界にダイブしていたが眼鏡が内容を簡単にまとめて表示してくれたので大体の流れはわかった。
1.原始に玲子様と七瀬が降臨
2.あっという間に女神と女神(偽)としての権能でオーバーテクノロジーレベルまで世界を発展
3.そこまでうまく行っていたが突如ガイヤ―とかいうアマゾネスが台頭し、人の身でありながら女神たちをボコボコに
4.玲子様はドМだったためにガイヤ―にメロメロ、七瀬は単純に強いものが好きだったためにメロメロに
5、なんだかんだあって玲子様とガイヤ―がイチャイチャ、七瀬ブチギレ
6、七瀬は騙し討ちして玲子様を打倒したが殺せるほどの力を持ておらず、仕方なく体と魂を分離させて魂だけ世界の最奥に封印
7、それからガイヤ―にモテなくなる呪いをかけ、自分ものになるなるように仕向ける
8、途中までうまくいくが玲子様のこととかイロイロバレてガイヤ―ブチギレ、寿命で死ぬまで逃げる七瀬の命をつけ狙う
9、ガイヤ―が死んだことを悟り、七瀬が逃げるのをやめるころには世界が荒廃、文明レベルがガタ落ちになる
10、このままでは荒廃し続けていろいろヤバいということになると悟った七瀬は異界にいる有能亡霊たちを召喚して、世界を立て直すことに
11、有能亡霊だけでは荒廃を緩めることしかできないことが判明し、苦肉の策として奇跡の塊である女神の身体を解体して、亡霊や世界の人々にばら撒く
12、何とか世界の荒廃が止まるとところまで持ち直し、落ち着くと自分をこんな目に遭わせた玲子様とガイヤ―への怒りが爆発
13、玲子様の居たという証拠をこの世から抹消し存在的なあれで殺せないか画策し、さらにガイヤ―の生まれ変わりが居たら抹殺することにする
14、玲子様を太古の昔から信仰するタカナシたちの先祖は七瀬と亡霊たちから「ハクガイハクガイハクガイダー!」ということになり、逃げているうちにこの島に辿りつき永住
15、そして現在この島にいたタカナシたちは七瀬の洗脳や歴史改ざんの影響を受けず、今に至る
長い……。
眼鏡に表示されるテキストが劇団のエンドロールが流されるラクリマみたいになっていた。
てかタテガミ爺さんがまだ話してないところまで、補なって表示してるぞこのメガネ。
モテ度診断ではポンコツだったくせに、変なところだけハイスペックだな。
「お前なんだそれ、スターウ〇ーズのあらすじみたいになってんじゃねえか」
「タカナシが話してないことがらまで表示されているな。ガイア一度書き起こしてくれ」
「書き起こすんですか……これ」
億劫になりながらもかき上げて行く。
「書いていくと尚のこと胡散臭さがひどいですね、コレ。歴史改ざんとか言ったらなんでもありですよ」
「まあそういうな。歴史改ざんの件は怪しいが私には確からしいと思ったところがいくつかはあったからな。何かしら知ることには意味があるだろう」
ガリガリガリ!
「はい、できました」
「はや! 五秒くらいしか経ってないぞ、お前」
「確かに早いが一分もあればこれくらいならかけるだろ」
「いろいろとおかしいぞ、お前ら……」
書いたものを二人に渡す。
ゼウスちゃんは興味深そうな顔をして、アンドーは無表情でそれを眺める。
どうやらゼウスちゃんはファンシーなもの大好き系女子らしい。
そんなことを考えていると、大事なことを思い出した。
「アンドーさん、そういえばあなた船作ってなくないですか?」
「ああ? ちゃんと作ってるよ。一日一時間端正込めて」
「ゼウスさん、このタヌキ今日の夕食にしません」
「いい考えだな」
「唐突なカニバリズムはやめろおおお!」
俺とゼウスちゃんは青ダヌキを縛りあげるとエンヤコラサと『ろいやるほてる』に向かった。