14話 モテ度測定
翌朝、なんか知らんが寝床に戻って来ていたアンドーとともに我々はタカナシに連れられ、教会で『ゴブリンでもわかるレイコー講座』を受けていた。
「――というんわけで、ワシらの先祖は七瀬が亡霊どもと結託して強いた迫害を逃れこの島に辿り着いたというわけなんじゃあ。おまんら、ここまで理解できたかあ?」
「HAHAHA、ゴリゴリと丸わかりですよ」
やべえ、全然わからんねえ……。
―|―|―
「なにぃ、全然話を理解できていないだと!?」
「おいおい、マジかよ。あのライオン爺さん、メチャクチャ教え方美味かっただろ」
「いやですねえ……。僕、どうもただ暗記する科目がめっぽう弱くて。計算なら無量大数まで暗算できるんですけど」
「ぶっこわれたスパコンみたいな性能してるなお前」
「うむ」
スパコンが何か知らんがめちゃくちゃ失礼なこと言ってるな、コイツ。
てかゼウスちゃんは何でうなづいてんだ……。
文句を言おうとするとゼウスちゃんが口を開いた。
「困ったな、参考になる点が多かったというのに……。お前のアーティファクトでどうにかならないのかアンドー」
「ないこともないけど、ただで貸すのはなあ」
「仕方ありませんね。何かあなたの喜びそうなものを取ってきましょうか……」
~3分後
「こちら、イエローラクーンのパチエモンさんとジャイアントオークのオボロマルさんです」
「ボクはあ、20世紀平原出身で彼女募集中のパチエモンでーす。こっちのガイアさん……うん? ゲイアさん?から彼女募集中のメスダヌキがいるて言ってたんで来ました。ヨロでーす」
「わたくしはオーク専用ハイブランド「HIGH ORC」の代表取締役社長、オボロマルと申します。こちらのガイアさんにハイスペックメスオークがおられると聞いたのでここにやって来た所存です。うむ、あなたは見たところ普通の人族に見えますが、最新鋭の擬態装置を纏われているんですね……。凄まじい技術力だ。あなたとわたくしの会社が手を組めば、オークのファッション界を牛耳ることは必定。フフフ、ワクワクでメガネが絶好調です」カチャカチャカチャカチャ
「おいアーティファクト貸してやるからこいつら返してこい」
―|―|―
「ダラダダダーン! インテリジェンスグラスぅ!」
俺は近所で発見した無駄にハイスペックやつらをそこらに返すと、なんかよくわからん丸メガネをブラックホールからアンドーが取り出した。
「なんですかコレ……」
なんか胡散臭いなあと思いつつ、奴が取り出したそれを装着する。
「それはな。超電子並列生命体『グ〇グル』を媒介して、いろいろなものをアナリティクスするなんかすんごいメガネだ」
「ナンダソノスンゴイモノハアー、タマゲタナー」
「……」
するとアンドーが説明をして、ゼウスちゃんが棒読みでオーバーリアクションをした。
もはやなにもいうまい。
「具体的に理解したいものを思い浮かべてみろ。そうすればメガネにできるだけ簡略化された形でそのことについての説明が表示される」
「ほんとですかあ……」
試しにモテ度と思い浮かべてゼウスちゃんを見てみた。
するとメガネにわかりやすく、
モテ度 8000(一般人:500)
と表示された。
「おお、分かりやすいですねえ」
平均までつけてくれるなら一目でわかる。
気の利いたメガネだ。
すこし面白くなってきたな、アンドーも見てみるか。
モテ度 5(一般人:500)
「モテ度たったの5か……ゴミめ!」
「おめえコノヤロー!」
「落ち着けアンドー!」
ふう、一通り見たし、自分も見てみるか。
おそらく、ゼウスちゃんの結果を加味するとモテ度は公爵令嬢的というステータスも考慮されているのだろう。
俺は今や総督だからな、きっと軽く10,000は越えて……。
「フフフ」
自分の右手を視界に納める。
モテ度 -999999999(クソザコナメクジ)
「うん、このメガネ。壊れてますね」