12話 素晴らしき島レイコー
「レイコ―さんまぁぁぁ!!」
手を合唱の形にして絶叫するおっさん。
じいさんのあとを着いていくと、最初に遭遇した住民がこれだ。
神官の役職といい、この如何にもマッドで宗教な感じのおっさんといい胡散臭くなってきたな。
「この方は一体……?」
「ただのキチ〇イじゃ」
いや、やっぱそうでもないかもしれない。
―|―|―
「まんず、おぬすらをレイコ―の有力者たちにお目通りしてもらう。ちゃんと話を聞くんじゃぞ、ええか?」
「わかりました」「了解」「りょ」
俺たちは三者三様に返事をすると、集落の中で一番大きい建物の中に入っていく。
中に入るとタカナシにどことなく似ている3人の老人がおり、こちらを見るとギョッとした顔をして円陣を組んで雑談をしていた体形から横一列になる。
奴らの目の前まで行くと真ん中のモヒカンの老人が口を開いた。
「ワスはオオトモというもの。ここの長老をやっておる。おぬすらは何者じゃあ?」
「僕たちは船を無くし、ここに漂流したものです。厚かましいのは承知の上なんですが、宿を借りさせて頂きたく、ここに参った次第です」
「なんるほんどのお、おぬすらは漂流者。ワスらにとっては客人みたいなもんじゃということじゃの。タダノー、おぬすのとこの、『ろいやるほてる』に止めてやったらどうじゃあ?」
「そうじゃのお、おにぃ、こいつらはソレガシのところであずかることにするかのお」
オオトモとタダノと呼ばれたボンバーヘッドの老人がスローペースで応対して、ロイヤルホテルに泊まることになった。
ロイヤルホテルなんて漂流者に対して中々の待遇だ、太っ腹な奴らだ。
「じゃが、そんならばこいつらにもレイコ―様を信じてもらう必要があるぞ」
「そうじゃなあ、ハタケヤマ。ゆくゆくはここに住むのじゃからそうすて貰わねばならんのお」
ハタケヤマと呼ばれたロン毛のじいさんがそう指摘すると、モヒカンじいさんが不穏なこと言った。
「住む?」
「そうじゃあ、ここは真実の女神、玲子様をあがめる者達の島、レイコ―。だから中に入った者には、外にいって偽物の女神、七瀬に用いされた亡霊どもに洗脳されることは決して許されることではないんじゃ。だからおぬすらにも正しい教えを知ってもらって、このレイコ―の一員となってもらう」
ああ、これはだめなやつだな。
因習に拘束された孤島てやつだろう。
関わるとろくなことにならないのは明白だ。
俺がゼウスちゃんに目を向けると彼女は口を開いた。
「早まるな。どうせ3日はここに拘束されるのは確かなのだ。突っぱねて敵対するより、貰える情報は貰った方がいいだろう」
「ですがねえ、ゼウスさん……」
「今んなら、うら若い美しい娘たちが結婚相手に飢えておるぞ」
「しょ、しょうがないなあ」