9話 船旅では99%の確率で船が沈没する
「えーと、ここら辺の奴ですか、龍用のアーティファクト?」
「違うもっと左だよ! ノーコンか、お前は? もっと本気になれよ!」
「ふう、紅茶がうまいな」
あれからアンドーが協力しないと言ったので、仕方なくゼウスちゃんに見張りを頼んでから、ブラックホールにダイブして、アーティファクト捜索に掛かると客室から這い出てきたアンドーが勝手に指図をし始めた。
カマってちゃんかなにかかこいつは……。
てかゼウスちゃん、絶対見張りしてないだろ。
紅茶がぽがぽ飲みまくってんのがここから見えるぞ。
「ゼウスさん、見張りをちゃん」
「おほほほほ! 何よこのみすぼらしい船は。邪魔だから壊してしまいましょ。全砲門構え!」
向こう側からバーン! ドーン!とか聞えてくる。
なにごとかと思い、ブラックホールの中から帰還するとこちらに向けて迫りくる木製の超ド級戦艦みたいなのが見えた。
見上げると甲板の上に傍にふわふわした女の子達を携えて踏ん反り返っているピンクの姿が見える。
「ふ、ガイア、襲撃を受けないと高をくくっていたようだけど。甘かったわね。海の藻屑と消えなさい」
奴の号令とともに砲弾が雨あられのように飛んでくる。
船撃沈。
まだ紅茶を飲み続けているゼウスちゃん、ワタワタしてるアンドーとともに俺は空中に投げ出される。
俺はとりあえず二人をキャッチして、肩に担ぎ、水面を忙しなく踏み込んで浮かぶ。
「大変なことになりましたね。魔導国までこのままダッシュで向かいましょうか?」
「やめておけ、一週間は走りぱなしになるからめちゃくちゃしんどいことになるぞ」
「さすがにその期間ずっとダッシュはぞっとしますね。無人島が点在してて休憩を取れる保証もありませんし」
ドーン!
そんなことを話しているとまた砲撃がこちらに飛んできた。
「とりあえず、ここから離脱して、俺を肩から降ろせ。そうすれば船ならどうにでもしてやる」
アンドーがそんなことを言うのでとりあえずその場から離脱すると、そこそこ遠方にあるが緑豊かな孤島が見えた。
あそこに行って態勢を整え直すか。