6話 ヒロイン特権無差別攻撃
「フン、確かにその通りですね。帰蝶、まずそのためにも私たちの感電を解除して下さい」
「させるか、『雷音』!」
ピンクが変形しようとすると、ゼウスちゃんの剣が震え、周囲にいる者の内臓にダメージを与え動きを止める。
なぜこんなことが分かるかと言うと、俺の内臓にも攻撃が適用されているからだ。
「いだだだだ! 無差別攻撃はやめてくださいゼウスさん!」
「そんなことを言ってる場合ではない。残り三匹の龍を倒されれば、お前は完全に魔王化してしまうのだ。ここで奴らを無力化し、身動きを封じなければ我々は終わりだ」
くそ、中二チックな言葉を並べられてよくわからんが、奴らが龍を倒す可能性がある限り止まらないらしい。
まったく、どんだけ龍ペットにしたいんだ。
「ということはあれですか。あの三人が龍を殺す可能性が無ければいいという事ですか」
「その通りだ。まさかできるのか? そんなことが」
出来るかどうかは別だが、禁術で一か月動くなとか言っとけば、もしかしたらいけるのではないか。
――禁術、日時設定
禁:沌神帰蝶、ミルフィ・フォース、邪神ハイドの行動
MIN:1秒 MAX:2日
すると、テキストが表示された。
どうやらこいつによると動きを封じる場合は、2日しか無理らしい。
やっても意味ないなコレ。
諦めるか。
でもこのままだと内臓痛いまんまで、長いこと膠着しそうだしな。
少しだけ粘るか。
行動はいろいろと禁止する範囲がデカすぎるから、認識くらいならいけるのではないだろうか。
禁:沌神帰蝶、ミルフィ・フォース、邪神ハイドの帝龍認識
MIN:1秒 MAX:2000日
いきなり増えたな、内容で変動が激しすぎだろ。
まあいい、これで活路を見えた。
内臓がキリキリするのもおさらばだ。
早速でSP全消費のMAXでやらせてもらう。
「竜を認識することを禁ずる」
――沌神帰蝶適用失敗、ミルフィ・フォース、邪神ハイド適用成功
マジかよ、ピンクだけしくじったのか。
まあ、あれだ。
細かいことを気にしてもしょうがない。
「ゼウスさん、奴ら全員が竜を認識することを禁術で封じました。これで縛り上げずとも大丈夫です」
「だが禁術は長い時間の行使はできないのではないか?」
「内容によって時間が違うんです。今回は2000日は大丈夫です」
「2000日……? まあいい。禁じれたのならば奴らに患っている時間が惜しい。帝龍を保護しに行くぞ」
「ええ、とりあえずそのアーツを止めて下さいゼウスさん。胃腸が弾き飛びそうです」
「離脱するまでは続けようと思っていたがしょうがない」
俺は内臓の痛みから解放されたので、ドッキリ看板をもって離脱に掛かる。
「ドッキリ大成功……。ガイアあんたまさか……」
「私たちの狙いをしてて、わざと泳がせていたというのですか」
「な訳ないでしょう。うちの息子はそこまで鋭くありません」
ピンクと中二病がふざけているのに、ママが突っ込んでいる声が聞こえると、その場からゼウスちゃんと共に跳躍した。