5話 あまりにもハイレベルなドッキリ
『ライトニングウィンド』
振り下ろすと雷を帯びた衝撃波が飛び、壁が瓦解するような音が聞こえた。
粉砕された壁の破片が視界を隠すので中の様子は確認できない。
確実に三人とも亡き者になってしまっている気がするのだが気のせいだろうか。
ただのドッキリがやりすぎで殺傷事件に発展……。
なんてことだ、ドッキリ大成功でどうにかなる話じゃないぞ。
俺は呆然としてドッキリ看板を手から落とし、見つめる事しかできない。
ヤバ目な現場を見つめていると煙がはれ、徐々に中の様子が見えてきた。
すると周りの家具やら壁やらは壊れているがちゃんと三人とも健在だったようで、取っ手のみとなったティーカップを持ったまま微動だにしていなかった。
「なんだ三人とも大丈夫じゃないですか」
「ガイア、全然大丈夫じゃありません。あなたの母は今、しびれて動けないのですから」
「あんたら、動かないと思ったらしびれてたのね」
「魔王、どういうつもりですかこれは……?」
そうぴしゃりと言うママがなんか怖かったのと中二病がガチギレしていたので、ドッキリ大成功をやろうと思ったが、やっぱやめた。
「何もこうもそうも無い! 貴様らがガイアに魔王として覚醒させるために暗躍していたのは全てわかっている」
「暗躍、そんなことは知りませんね。私はただイースバルツでノースクラメルの一人の将として転戦を繰り返して――」
「お前がなぜここにいるんです?」
ママが何やら言おうとすると、それを遮って邪神がゼウスちゃんに問いかける。
ノースクラメルの学園時代の知り合いか何かか。
「『デュアル・エンド』。これが答えだ」
ゼウスちゃんは黒い厨二臭いオーラを噴出させて、厨二臭い真っ黒な銃を生み出し、中二病に向けて撃った。
見るも哀れに中二病の眉間に穴が開いた。
「あっちの魔王を殺したということですか。下らないことで寿命を減らしましたね」
中二病は眉間に穴が開いているというのに、全く気にせず、憎まれ口をたたいている。
うん、全く状況かよくわからない。
黒い厨二オーラが使えるゼウスちゃんに、眉間撃たれても絶対死なないマン。
こんなもん、こっちがびっくりだ。
なんだこれは。
逆ドッキリか、なにかか。
それにしては仕掛け人側であろうママがギョッとした顔をしているのが違和感があるな。
よくわからんな。まあ大したことではないだろう。
「ハイド、あんたら何言ってんのか、わけわかんないわよ! そんなことよりもバレてんだし、どうにかしなさいよ!」
ピンクもどうやらワケワカメでイライラしていたらしく、中二病をどついている。
やめて上げて、厨二さんかわいそう。