26話 グランプリ閉会式
「参加者の方々、健闘ご苦労様です。皆さんのおかげで大変な盛り上がりとこの国に隠れた膿を掻き出すこともでき、まさに大会は大成功そのもの。大会運営サイドとしては喜ばしいことこの上ないです」
俺は閉会ということもあり、運営サイド代表として檀上で挨拶をしていた。
ママが提示するカンペを見ながら。
『もっとふんぞり返って、偉そうに!』
俺は指示に従って、踏ん反り返る。
すると新しいカンペが提示された。
『あご上げすぎ! シャクれてる!』
「シャクれてないわ!」と内心で愚痴りつつ、顎を引いて、次の台詞を口から紡ぐ。
「まあ口上を長くしてもしょうがないので早速皆さんが楽しみにしている余興から始めましょうか。テロリストの皆さんを連れてきてください」
こちらがそういうとママが手を叩く。
すると縄に繋がれたナイスバディ含むNTR三人衆とホモ開放戦線のガチムチたちが、ノーマルなガチムチたちに連れられて壇の前まで進み出てくる。
「これから彼らに相応の罰を与えたいと思います」
俺がそう宣言すると参加者、観覧者たちは少し困惑した表情をする。
きっと彼らも後ろめたいことや、NTRをして、奴らに同情したいという気持ちがあるのだろう。
まったくどいつもこいつもNTRばかりだ。
そんなことを考えているとナイスバディのNTRを思い出して、イライラしてきた。
ささっとことを進めるか。
カンペをみて、それの通りしゃべる。
「すべて終わった時には彼らはこの世に存在しないでしょう。ではまず罰の第一段階として超巨大水晶を見てもらいます」
こちらが言い終わるとセールスマンがうなづき、新しく作ったリモコンのようなもののスイッチを押した。
するとイースバルツの旗を背景にして、汗をかいたおっさん、真顔のおっさん、ニコニコしたおっさんが水晶に映った。
「首相!」「陛下!」「魔導王様!」
するとNTR三人衆が声を上げる。
たいそうな名前の親戚のおじさんかなんかだろう。
カンペの指示がないので仕方なく俺も奴らに向けて送られているホームビデオを見る。
『イースバルツの民たちよ、貴公らの武勇ラクリマから見させてもらった。実に見事であった。我ら途上国、異国、魔導国はイースバルツの旗本に入ることになった。これからは諸君らとも今後は更に密につながることになるだろう。その時は是非とも頼む』
三人の中の一人である汗をかいたおっさんがそういうと水晶の映像は消えた。
あと二人のおっさんはなんだったというのだろうか。
ナイスバディたちに目を向けると親戚を大衆の面前でさらされて、ショックなのか三人衆は青い顔で俯いていた。
なんてことだ、閉会式で盛り上がるはずがお通夜だよ。
そこまで行くとまたカンペが出されたので読み上げていく。
「ええ、テロリストの皆さん、あなたたちの罰は他国の民として死ぬことで果たされました。これからはイースバルツの民として内戦を引き起こそうとした方々とともに交易路作成の労働に従事していただきます」
「さすが魔王様。慈悲に満ち満ちておられる」「大会を運営される傍らで他国の制圧を行うとは」「あとはノースクラメルのみ、大陸をイースバルツが手に入れるのも時間の問題じゃ」
国民たちからの謎のヨイショが聞こえてくるとカンペがめくられ、新しいセリフが提示された。
「おおっと、ここでスペシャルゲストがついに到着されるようです。今まさに荒野を進んでこちらに馬車で接近されるのはノースクラメルの国王、クロノス王で在られます。彼にはもう一つの余興としての僕との手合わせを行っていただきます」