25話 ギルティ、君に決めた!
「フフフ、まだまだの様ですね。僕に小指一つも触れられていませんよ」
「グッ。アーツを一度も発動させていないのに、なぜあんなに強いのだ。デタラメが過ぎるぞ」
兄マンティーとアダルマンティーは息を荒く吐きながら、地面に膝をつく。
「フフフ、もう限界の様ですね。最後にガクセイ流奥義ドタキャンを使って葬り去ってあげましょう」
俺は足に力を込めて奥義を放つ準備にかかる。
すると重要なことに気が付いた。
ホモがいない!
まさか奴はモブ流奥義ソンザイカンカイムーを使っているというのか?
焦燥感に襲われた俺が上下左右を確認するが奴の姿は見えない。
見えるものと言えば、精霊様とガチムチたちにNTRの業について講義を行うピンクだけだ。
「どこです!? 一体どこにいるというのです!?」
「ここです……」
「はッ!!」
背後からホモの声が聞こえ、振り向こうとすると膝裏に衝撃が走る。
俺はその衝撃で奴が俺にどんな絶技を懸けたのかを確信した。
「こ、これはクズ術秘奥義ヒザカックン……!!」
古来東方の地で若人たちが編み出した不意打ち。
ただ膝を曲げる。
それだけの業だが、対人においてこのクズ術は大きな効果を示す。
「うああああ! あまりのショボさに精神がああああ!」
そのショボさ故に懸けられた相手のプライドに大きなダメージを与え、さらにこれをやられた人間にヒザカックンをやられてヒザカックンした奴というスティグマを与えてしまうのだ。
くそ、これの効果を知っている故に尚のことメンタルにダメージが……!!
「ま、まだです。ぼ、僕はこんなショボい技には屈したりはしません」
「俺の膝はカチカチ」という自己暗示をかけて俺は無理やりにヒザカックン状態から脱する。
「まだ終わってませんよ、ガイア」
「な、なんですって!?」
すると背後に居るヘルメスが執拗に俺にヒザカックンを懸け初めて来た。
こんななんどもやられたらヒザカックンするにきまっている。
「ひ、卑怯ですよ! ヘルメスさん!」
「勝てばいいんですよ、勝てば!」
このホモ、悪魔に魂売ってやがる!
執拗にかけられるヒザカックンを何とか膝をそらして回避する。
だが徐々に膝裏の中央にクリーンヒットする感じが近づいて来る。
このままでは……!!
「あ、ヤダ……。デスモスキートじゃない。しっしっ!」
「ちょっと! 刺されると痒くなるんだからちゃんと潰してくれよ」
まったくこんな時に。
ピンクがデスモスキートにこっちに誘導したのでヒザカックンよけながら潰す。
パンっ! ドガーン!
デスモスキートを潰すとなぜか衝撃波が出てしまった。
ヒザカックンの衝撃がこなくなったので周りを見るとピンク以外全員昏倒していた。
ギルティ選定していないのに戦いが終わってしまった……。
どうすればいいというのか。
しばらく考えても何も思いつかなかったが、伸びてる兄マンティーを見て思いついた。
「そうだ。フリー素材のテロリストのせいにすればいいんだ」