24話 かつてケダモノだったガチムチたち
ガチムチ・サボリスギジャーネノ。
奴はガチムチの中で最も臆病で最も勇敢な男だった。
いつも戦場では「ハライッタアア!! これマジでダメなパターンだわ! 一歩も動けないパターンだわ!」と言ってダッシュで最前線から一番後ろまで下がり、決まって軍資金をみんなが見てる中、盗もうとしていた。
「心を失ったものは、心があるものが葬り去らなければならない」
「いや、魔王様が一番心な」
ボゴーン! ガラガラドシャーン!
俺はサボリスギジャネーノをドカタ流奥義アアアアテッコツーガーで葬り去る。
奴は正気を失っていた。
こうするしかなかったのだ。
「まったく持って心を無くした者の相手をするのは、苦しいものね」
ガチムチ・ネトリスギジャネーノをピンクがガングロにするとそう呟く。
「一体、俺たちはあと何人葬り去ればいいと言うんだ……」
俺は夕立に染まった空を見て、ノスタルジーに浸る。
「途中経過の報告です。現在第三種の参加者でダウンしていないのはあと四名になりました」
すると拡声の魔道具からそんな報告が聞こえてきた。
「なるほど、あと三人か。フフフ、これでこの戦いも終わりだな」
俺はやっとおわるぜと思うとそういえばなんでこの戦いを始めたんだけという疑問が浮かび始めた。
「……はッ!!」
思い出した! ギルティを放火魔に仕立て上げるためだった。
NTRナイスバディに気を取られてすっかり忘れていた。
く、しまった、何も考えずにロイヤルファミリーに同ポイントを与えていた。
これでは一人に選別できない。
かくなる上は……。
「クリムゾン、ホモ御殿放火の件、お前が犯人てことにしていいか?」
「あんた、ブッコ〇スわよ」
クソダメか、じゃあどうしやあいいてんだ。
「おお、ガイア。この焦土、テロリストの抵抗でできたものか。これならばホモ御殿が燃えるのも納得だ。テロリストは無事あぶりだすのに成功したし、これでこの大会は終わりだな」
それからしばらく黙考していると兄マンティーがアダルマンティーとヘルメスを連れて、そんなことを言いながら現れた。
フリー素材のテロリストのことをうんやかんや語っている。
俺にはフリー素材より、スケープゴートが必要なのだ。
「いやまだです。まだGPを最も集めた者――優勝者が選定出来ていません」
「ふん、律義な男だ。始めた大会はなあなあでは終わらせたくないということか」
そういうと兄マンティーたちはこちらに向けて構えを取る。
「……最後の戦いを始めましょうか」
俺も残りのギルティ候補たちに向き合い、構えを取る。




