23話 キレイなセカイ
なんか赤い光線をぶっ放したらびっくりするほどすっきりした。
晴れ晴れとした気持ちで周りを見ると、無傷のナイスバディが失神し、近くに居た野郎二人がこんがり焼けて、ガングロになっている。
やはりDQNの系譜のものたちだったらしい。
ナイスバディと近づいたことで興奮し、擬態が解けたと言ったところだろう。
「ふう、爽やかな風と太陽が心地いいですね」
赤光が吹っ飛ばした天上から入って来る風と光が心地よい。
なるほど、「世界はビューティフルワールド」とか吟遊詩人が言っていたがこういう事なのだろう。
「ほんと訳の分からないNTRとか何かを気にしていたのがバカバカしいですよ」
「まったくね。世界はこんなに美しいというのに、あたしたちは何に憤っていたのかしら」
我が竹馬の友クリムゾンもそう言っている。
まったく持ってなぜあんな醜い感情をたぎらせていたのか、まったくわからない。
「鎧着てたままじゃ。この嫋やかな風を感じられないでしょう。元の姿に戻るわね」
「フフフ、すまんな。クリムゾン」
ああ、鎧が解けて更に爽やかブリーズだ。
あああああ、風が心地いい。
「あ、見て! あんなところにお花畑があるわ!」
「なんて美しい花たちなんだ! ここは天上の楽園だとでもいうのか!」
俺たちはお花畑に向かって飛び込んでいく。
世界が輝いている、こんなに美しい世界があるなんて。
お花畑でキャキャウフウフしていると、遠くの爆心地みたいになってるところに精霊様たちが真っ黒こげになっている。
「あらあら、赤光で焦げちゃったわ。これはさすがにだめね」
隣でゴーダさんが困った顔で二人を見下ろしている。
きっと二人も気持ちいい太陽のもと日光浴をしすぎたらあんな風になってしまったんだろう。
しばらくお花畑でゴロゴロしてると
「魔王を見つけたぞ! ヤッチマエ!」
精神の荒れようがありありと伝わってくるようなガチムチどもがダッシュしてきた。
手には棍棒やら、大剣やら物騒な武器を持っている。
「なぜそんな醜い争いをしようと言うんだ!? 一体だれがこんなことを!!」
こんな美しい世界で争いを起こそうとする人間どもを見て、嘆きがこみあげてくる。
「どれだけ美しい世界に居ても心を磨耗させてしまうものが居る。人間というものはそういうものなのよガイア」
「そ、そんな!?」
「私たち心あるものには責任があるわ。心を無くしたものたちを葬り去るという責任が」
「くそお! これも全部テロリストたちのせいだあ!」
俺はやり切れずにフリー素材であるテロリストたちに憤りをぶつける。