22話 NTRはブッコ〇
「危ないところを助かったわ」
エイムは他国のアサシンだというのに救出した二人に感謝の念を伝える。
「気にするんじゃねえよ。ターゲットの目をかいくぐって、奪還するくらいおれにとっちゃなんてことはない」
「感謝するよりも先に自分が救出された理由を考えたらどうだ?」
ヘイトの自身の溢れた声とバリィの低い声が聞こえる。
バリィの発言にムッとするが、これまでの経験で奴に悪意のないクソ真面目だと知っているエイムは飲み込み、理由について頭を巡らせる。
頭を巡らせ始めてから、考える必要もないことに気付いた。
狙撃手の自分を助けるということは、狙撃する必要のあるものがあるということだ。
「狙撃する対象はなに?」
「村の四方に配置された気温調節機構だ」
こちらが問いかけるとバリィが手短に答えた。
「お前ら経緯も説明せずに、いきなりやる事だけ打ち合わせるなよ。サバサバし過ぎだろ」
ヘイトがこちらの様子に若干引いているが、経緯など知ったとして単なる時間のロスにしかならないのでエイムにとっては割とどうでもよかった。
バリィが無言で四つの赤丸のつけられた地図を渡してくるのでそれを受け取る。
赤丸がエウゲン山に沿って二つと農場、セールスマン邸近くに一つずつあるのを確認すると立ち上がる。
それから足を動かそうすると劇物を食わされた余韻がまだ残っているのか、足がもつれて、胡坐を組んだヘイトの上に転んでしまった。
「大丈夫かお前……」
「ごめんなさい、すぐ立ち上がるから」
少し湿っぽい地面に手を当てて立ち上がろうとすると、強烈な邪気を頭上から感じた。
見上げると禍々しい桃色の甲冑がこちらを見下ろしてた。
「なるほど、これがNTRか……」
―|―|―
あれからよくわからないが、ホモの大歓迎を受けた俺は謎の危機感を感じてこのおぞましい施設から脱出を図ると、とんでも無い現場に遭遇してしまった。
なんと愛しのナイスバディが野郎の股間に顔を埋めていたのだ。
ここにネトラレ極まれりだ。
「なるほど、これがNTRか……」
「そうよ、これが人間の生み出してしまったこの世すべての悪……」
あまりの精神的ダメージに無の極致に至った心でそう呟くと、身に纏った呪具NTRアームズがそう答えた。
「そうか、やはりNTRはブチコ〇さなければならないのか……」
「ガイアまだ希望を捨ててダメよ。コ〇ス前にちゃんと洗脳を懸けられるか試さないと」
「もういいだろ、もうこんなのヤルシカねえよ……!!」
「ふ、あんたの選択嫌いじゃないわ……!!!」
甲冑と完全に魂が同調したのかひどくなじむ。
NTRによって生み出されたピンクの憎しみと俺の憎しみがまじりあい、黒い衝動を形づくる。
俺はそのありたけを右手に集中させ、放出させた。
「ユニゾンアーツ『ラースカタストロフ』!!」
目の前が赤一色に染まった。