21話 解放の英雄ホモサピエンス
邪気の溢れる方に向かっていくとオス臭い男どもが溢れかえった大広間が広がっていた。
「なんだこれ……」
「見て分からないの? ホモの集会よ」
「そんなのみりゃ分かるよ。俺が聞きたいのは何でこんなところにホモが集会なんて開いているてことだよ」
俺は察しの悪いピンクにそういうと、いかにも怪しげなホモたちを見る。
無駄に雄々しい大胸筋をひくつかせ、今から儀式でも始めそうな勢いだ。
ここはサバトの一種、ソミンサイの会場か何かだとでもいうのだろうか。
「魔王が我らをホモ御殿に強制収容させたことを忘れてはならない。奴は我らの尊厳を踏みにじたのだ。我らは誇りを取り戻すために報復させねばならないのだ!」
「おおおおおおお!」
こちらがそんなことを考えているとホモたちが熱狂を始める。
強制収容したのは俺じゃないぞ。
「我らには解放の英雄、ホモサピエンスの加護がある! 解放の業火を再びこのアイズ村に上げるのだ!」
「おおおおおおお!」
解放の業火……。
嫌なフレーズだ。
もしや……。
「どうやら、あんたの放火を英雄による解放の業火と勘違いしているようね」
「お前なぜ放火のことを……!?」
「夜カエサルを絞めてるときに、見えてしまったのよ!!」
いきなりそんな大声で衝撃の事実を告白されても……。
「聞いたことのない声、何奴か!!」
ピンクのバカでかい声のせいでリーダー格のガチムチに、存在を悟られてしまった。
なんてこった。
「クリムゾン、なんか身を覆うものに姿を変えろ!」
「しょうがないわね」
ピンクは桃色の甲冑に変えると俺はそれを装着して、変装する。
変装して少しすると屈強なホモたちがこちらの前に次々と襲来する。
「総統、通路の物陰にか、甲冑が!!」
「甲っ冑、だと!?」
奴らは動揺した様子で俺のことを見つめてくる。
これならば適当なことを言えば切り抜けられるかもしれない。
「我が名はホモサピエンス! ホモを開放する者なり!」
「こ、この甲冑がホ、ホモサピエンスぅぅ!?」
「ほ、本物なのかぁぁ!?」
お、いけるかこれは。
「う、狼狽えるなお前ら! そいつがホモサピエンスだと言う証拠など一つもない。本物ならば解放の業火を使えるはずだ!」
リーダー格のホモが冷静なのか、そんな無茶ぶりをしてくる。
種火ないのに火つけられるわけないだろ、いい加減にしろ。
しょうがない。
「クリムゾン、炎出してくれ」
「注文が多いわね」
ピンクが文句を言うと甲冑から頭部から炎が噴出された。
ふざけんな、怪生物じゃねえか。
「あ、あれこそは解放の業火!!」
「本物だ!」「ホモサピエンス!」
俺がピンクを文句を言おうとすると勝手にホモたちが盛り上がり始めた。
「解放の英雄が俺たちの仲間に!! お前ら、俺たちに敗北はない! なぜなら俺たちには解放の英雄がついているのだから!!!」
「うおおおおおお!」「サーピエンス!」「サーピエンス!「サーピエンス!」「サーピエンス!」「サーピエンス!」「サーピエンス!」「サーピエンス!」「サーピエンス!」「サーピエンス!」
どうやら丸く収まったようだ。