エピローグ① 『サイコホモゲットだぜ!』
宴。
そこでは、龍の肉がふるまわれた。
龍のテールスープに、龍のミートボール。龍のステーキ、龍舌……etc。
フフフ、お肉がいっぱい。お野菜食べたい。
俺はお肉パラダイスに辟易しながら、肉にがっつくガチムチたちを見る。
「肉、うめえぇぇ」と言いながら、ボンボン口の中に放り込んでいく。
目の錯覚か、肉を取り入れるごとに奴らのガチムチ度が上がっていくように見える。
なるほど、奴らはグ〇メ細胞の所持者だったのか……。
もう肉は食えんし、眠たいのだが、隣にいるヘルメスのせいでそれが出来ない。
帰路からずっと俺の片腕を地味に柔らかい胸板でホールドして、離さないのだ。
最初に浮かれてスキンシップが派手になっていただけだろうと思ってた自分をぶん殴ってやりたい。
酒を飲んでから「婚姻の誓いはどこでする?」と言うのを聞き、奴が生粋のホモであると気づいたときにはもうすでに手遅れだ。
解こうとしても腕は離れず、瞳孔にハートを浮かべてこちらを見つめていた。
このままでは、俺のケツにヘルメス専用とか言う不名誉な修飾が付きかねない。
くそ、貴族だから何するか分からんが、ちゃんと言わんとならん。
「……ヘルメスさん。実は僕、村コン大好きなんですよ」
「うん、うん。ガイアは村コンで大々的に私との婚礼の発表をしたいんですね。よくわかりました」
村で開催される合コンイベントの村コンの事を話題に出してノンケアピールをするも、奴には何も伝わっていない。
それどころか、奴は公衆の面前でカミングアウトする気になってしまったようだ。
なぜだ、どんどん悪い方向に物事が進んでいく。
俺の業はそこまで深かったというのだろうか。
―|―|―
ゼウスは帰還すると、すぐに王から呼び出しを受けた。
作戦失敗の咎めを受ける可能性が高いので、気を引き締めて王の間に向かうと王と誰かが口論する声が聞こえた。
何事か!と思い王の間に足早に向かうと、ウラノス王を月の化身のような銀髪の女が詰ているのが見えた。
「ウラノス。なぜゼウスだけでなく、ニーズヘッグまで向かわせたのです! ゼウスのみを向かわせるようにとあれほど言ったではありませんか!」
「奴は軍も持たず、己の身一つだったのだ。この好機に攻め込まない手はなかったのだ」
「魔王ガイアは武の頂点にいるものです。いくらで武で攻め込もうとも彼を倒すことはできません。倒すことが出来るのはゼウスのみだと何回言えば……」
ウラノスに忌憚のない言葉を投げかけるその姿を見て、ゼウスはその女が何者であるか理解した。
この女はウラノスに祝福を与えている女神だと。
背筋に冷たいものを感じながら、ゼウスは頭を下げる。
「あら、ゼウス。よく来られましたね。見苦しいところを見せてしまってすいません」
女神はそんなゼウスに向けて、同性である女性さえ虜にするだろう柔和な笑みを浮かべた。