17話 NTR野郎に人権はねえ
何か調査に使えるスキルが無いかと、なんか知らんけど無駄に増えている自分のアーツを俺は慧眼で覗く。
すると、おあつらえ向きに
『真眼』……ステータス、心理テキストを表示
そんなアーツがあった。
慧眼の上位互換みたいだ。
早速会場にいる参加者を見るとステータスの両隣に文字欄が増えている。
『魔王コ〇ス』『あと少し魔力を込めれば究極の憎ジャガが……』『モテテエ』『モテルヨナ?』『フフフ、メリットビリーブ様の隣のメスはブッコ〇』『どうしよう……、憎ジャガの作り方ワカンナイ』『モテロ!』『テロリストはどこにいるというのだ?』『おお、メンコイノォ、メンコイノォ』『やだ……、メっちゃんたら……』『くっせえ、こいつは正真正銘の灰汁の匂いだぜ!』『やだ……。 あのガチムチこっち見てる』『ウホ、かわいいこ発見!』
一部の人間を見ただけ視界がテキストで埋め尽くされた。人が密集したところでやるもんじゃないなコレ。
相手の心を混乱せずに把握するには少人数に分散させる必要があるようだ。
早く、ナイスバディを誘拐したヤリチンから取り戻さねばならないというのにまどろこしい。
この種目が後5分程度なので少し焦りながら、こちらが干渉しにくい第三種目『一番ずるい奴は誰! いいわけトーナメント』を消して、俺が干渉しやすい新しい種目に取り換える。
新しい種目は『サーチ&デストロイ魔王』。
俺を見つけて打倒した奴にGPを付与するイベントだ。
これならば人はばらけて、誘拐犯の心を覗ける可能性も高まる上、見つけ次第あの世にご案内できる。
少しやりすぎな気もするが、ピンクによるとNTR野郎に人権はないらしいので大丈夫だろう。
そこまで考えると第二種目終了の鈴が鳴った。
「第二種目終了です。料理をする手を止めて下さい」
俺はそう拡声の魔道具を介して参加者に伝えると、次の種目をついでに伝えることにする。
「次の第三種目は『サーチ&デストロイ魔王』。今から日没までに僕をこのアイズ村の中から見つけて、打倒したものに一発逆転を狙えるような高得点を与えるイベントです。無論、僕を打倒せずとも得点は入りますので心配なきように。時間はたっぷりあるので休憩してから種目に取り組んでも、今すぐ始めてもらっても構いません」
俺は簡単な説明を済ませると跳躍して、会場から少しはなれた森の中に降りる。
そこから会場にいるなんだか女好きしそうな面子に目星をつけて、真眼をかけることに決めた。