13話 借りパク
「テロリストどもは早くも馬脚を現したようだな。だが案ずることはない。ホモ御殿の件で怒り狂ったガイアが目を光らせてテロリストを今も捕縛に掛かっている。我たちは囮になりつつ競技を続ければいいだけだ」
「ふ、妨害ありの競い合いかい。おもしろくなりそうだね」
「ガイアがなんだか知らないけど、これを書いた奴はコ〇すわ」
「国王様、服を着てください!」
「ガイア様が事に当たっているのなら、テロリストも捕まるのは時間の問題」
よくわからんが水晶の向こうでは全部、居もしないテロリストのせいになったらしい。
く、おのれ兄マンティー。
腐っても上に立つもの――兄貴ということか。
ヘイト管理が巧みだ。
テロリストなどいるわけがないのに、そんな架空の存在にヘイトを集中させるとは。
新たに手を打たねばならない。
このトライアスロン中行使できるもので。
俺の持っているものは、紙、羽ペン、ジュースの瓶、魔力のみ。
流石にこいつで新しい手を打つのは……。
そこまで考えを巡らせると隣のナイスバディがなんかスナイプライフル的なものを持っていたことを思い出した。
「すいません、それ貸して貰えませんか?」
「貸すわけないだろ! 凶器もこちらのものを使って、私たちに対する濡れ衣を確定的なものにするつもりか」
「そんなつもりはありません。悪を滅ぼすだけです。あなたは英雄になれるんですよ」
「そんなわけあるか、嫌だ!」
「貸してください!」
「嫌だ!」
「貸して!」
「嫌!」
「ちょっとくらいいいでしょ!」
俺がそう絶叫して思い切りライフルを引っ張ると銃の筒部分がすっぱ抜けた。
組み立て式の銃かなんかだろう。
まあいい、とりあえず使えそうなものはゲットした。
「や、やっと諦めたか。筒返しなさいよ」
「いえ、少しだけ使わせてもらったあと、返します」
俺は奴らの居る方向に向けて筒に魔力を込めて筒を振りかぶる。
すると筒の先から魔力塊が飛び出していた。
「いたあ、何よ!」
魔力塊は兄マンティーにあたらなかったが、クリムゾンに当たった。
「あんたどさくさに紛れてあたしの頭叩いてんじゃないわよ!」
「いえ、私はなにもお!?」
ガチムチにクリムゾンな拳が叩きこまれた。
まあ、なんか不憫な気もするが、ガチムチだししょうがないだろう。
気を取り直してまた打つか。