9話 ホモ開放戦線
「アダルトさんに1京GPを。絶対に許しません」
ターゲットの声が聞こえると思うと、バリィは目を覚ました。
彼の腹の上には自分の銃撃をシコタマ受けたヘイトが伸びている。
邪魔なのでどかすとヘイトは呻きを上げて、起き上がる。
「畜生、あの化け物……。全部が全部いかれやがる。10キロ近く離れた距離を一瞬で詰めた上、国では見切れるものがいない俺の刃を見切るなんて」
「聖国を落としたことと、竜を2匹屠ったということは本当だったということだろう。撤退するしか手はない」
バリィはそう言って、ポッケに手を突っ込んでその場から踵を返す。
「あの魔導国の女がいないけどいいのかよ?」
「他国の人間のことなど知ったことじゃない。アサシンならあの女も本望だろう」
ポッケに手を突っ込んですかした態度を取りつつ離れていく、バリィにヘイトは眉をしかめる。
だが他にも手もないかと自分を納得させるとヘイトも立ち上がり、バリィの後からこの国から出ることにする。
地面に刺さっていた忍刀を回収するとバリィが向かった方角に歩を進める。
「なんだ、アレ?」
するとバリィがフード深めに被った男に引き留められているところが見えた。
「外には出られません。魔王の配下たちが門で検問を行っていますから」
「なんだお前は?」
「私はバンキー。邪知暴虐の魔王ガイアの横暴に反逆する組織、ホモ開放戦線の者です」