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60.危険

「驚きましたわ。情報を伝えない護衛役がいるなんて……いえ、それよりも、護衛役がいつまでも姿を晒していることに驚きですわ」

「え! そうなの?」

「ええ。わたくしの護衛役も風の一族ですが、滅多に姿は現しませんわよ。前は調子が狂うので、傍に置かせましたが……」


 前、というのは、初めてクリスと出会ったときだろう。

 驚愕の事実だった。話で聞いている護衛役のイメージとは裏腹に、アランはいつも私の傍にいて、声をかけたり、励ましてくれる。時折子供らしい一面を見せつつも、人間らしく振舞っていた。

 しかし、クリスから得た護衛役の情報は、何とも言い難く淡白なものだった。そういえば、言われてみると確かに、アラン以外の護衛役らしき人物は見たことがない。クリスはいつも一人で来ているように見える。馬車や、衣装を運んでいた使用人たちは別として。


「まあ、いいですわ。少し護衛役が危険になる程度ですもの。本人たちが良いなら良いんでなくって?」

「危険になる? どういうこと?」

「自分の頭で考えなさいな。護衛役が誰か、情報を知られていたら、不意を突いて真っ先に狙われるのは護衛役の方です。戦えるものがいなくなれば、暗殺も容易くなりますから」

「アラン!? 貴方、そんな危険なことしていたの?」


 クリスからそれを聞いた私は、真っ先に不機嫌そうなアランに詰め寄った。確かにそうだ。アランは幼いとはいえ、護衛役。この屋敷で――セシルは除いて――一番戦える人間なのだ。彼を崩されたら、私は動揺して、そのまま殺されてしまうだろう。

 詰め寄られたアランの方と言えば、ばつの悪そうに目を細めている。子供らしくてかわいらしいと言えばかわいらしいが、危険が伴うならば話が違う。しかし。


「……お姉ちゃんと一緒にいたかったんだもん。俺、奇襲には慣れてるし」

「慣れるものじゃないのよ、奇襲は」

「それにほら、真っ先にお姉ちゃんが狙われるよりはましじゃん。要は俺が死ななきゃいいんだからさ」


 そこまで言い切られてしまうと、なんとも言い返せなくなってしまう。


「良い護衛役を持ちましたわね。ロベリタ。……少し変わっていますけど」

「言わないで。わかってるから……」


 アランが変わっているのは、今に始まったことではない。高飛車なクリスでさえ少し引いている。しかし、ずっと一緒に、という言葉を交わしたのも事実だ。その意味が分かっていなかった自分の浅はかさに呆れてしまう。元居た世界とは何もかもが違う、分かっていたはずだったのに。


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