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48.セシルと女王

 クリスが去ってからしばらくして。人混みの隅でようやく冷静さを思い出した私は、先程から疑問に思っていたことを口にした。


「セシルって……女王陛下と知り合いだったの?」


 お久しぶりです。女王陛下。挨拶の際に、彼はそう言っていた。女王様の栗ぶりから察するに、ロベリタと出会ってからは初めて会うようだったが、私はそれが少し気になっていた。

 優秀な人材。そう感心していた女王陛下は、明らかにセシルのことを知っているようだった。もしかしたら、セシルって結構重要な人物なのかもしれない。そう思わせるほどに。


「ああ、昔、女王陛下がまだ魔法の国にいた頃、お城に仕えてた時期があったんだよ。その時にちょっと、ね」

「ちょっと?」

「まあ、今の仕事とそう変わらなかったからね。事情があってスラムに転職することになったけど」

「……深くは聞かないほうが良いのかしら」


 それもまた、探られたくない事情の一つなのかもしれない。私は選んだ本物のロベリタを信用することにした。大丈夫。きっと怪しいことなんてない。そう言い聞かせるように。


「あの……ロベリタ嬢、ですよね」


 声がかかったのは、セシルについて模索している、そんな時だった。何処か頼りなさげな声だ。そうまでして自信なく聞かれると、本当に自分がロベリタなのか不安になってくる。

 だからといって、多分そうだと思うんだけど、なんて言えず、居住まいを正して私は声のした方へ向き直る。


「ええ。ロベリタとは私の事です。……何か?」


 できるだけ本物のロベリタに近い印象を抱かれるように、凛と声を通らせた。通っているかはわからない。何せ、生まれてこの方、貴族として振る舞ったことがなかったからだ。

 今だって、セシルから社交界は話しかけられることが多い、と聞いていなければ、混乱していただろうと思う。事前情報を入れておいてよかった、と思う。でなかれば、すぐにぼろが出てしまっていたかもしれない。――その時のための記憶喪失という話ではあるのだけれど。


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