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37.アルビノ

「ロベリタ嬢は一人っ子だからねえ。恥のないよう、よく教育されてたんだよ」

「一人っ子? ハーバードは何人も弟さんがいるのに?」

「本当はもう一人、ロベリタ嬢の妹がいたんだけどね。死産だったんだよ」


 また、初めて聞く情報だ。死産。本当は二人姉妹だったのか。姉妹がいたら、ロベリタは私を用意することもなかったのだろうか。セシルに私の転生を依頼することも。


「そういえば……親殺しの儀って、家を継ぐ長女や長男だけがするものなんですか?」


 姉妹や兄弟がいたら、どうなるのだろう。ハーバードは焦っているように見えるが、弟や妹に先を越される、なんてこともあるのだろうか。そう思って問いかけてみると、意外にも、口を開いたのはアランだった。


「次男や次女でもするよ。僕がそうだもの」

「え、貴方、お兄さんなんていたの?」

「いるよ。全然似てないけどね。僕の外見は特殊だから、こうでもしないと人権なんかなかったんだよ」


 こと、とお茶の入ったカップが置かれる。大人びた横顔はどこか寂しそうに見えて、何だか胸が締め付けられた。

 白い髪、紅い瞳。夕日に透かされて、それらはまるで飴細工のように光を帯びている。そういえば、この世界に来てからというもの、青い目や金色の目はいても、アランのような外見の人間は見たことがない。


「突然変異だっけ? 大変だよね、君も」

「さあ。魔法の国ではそう呼ぶの? 武具の国とは違うね」


 セシルの言葉に、アランが忌々しげに答える。突然変異。元居た世界でも聞いたことのある言葉だ。確か、アルビノと呼ばれる人種。


「僕の国じゃ、そう珍しくないよ。ただ、儀式の供物としてちょうどいいとか、変な噂は広まってるけどね。あんなの、信じる方がバカだよ」


 それは私がいた世界にも流れていた噂だった。現代日本ではただの突然変異として捉えられていたが、発展途上国ではそんな噂が囁かれていると聞いたことがある。なんて声を掛けたら良いんだろう。アランの態度からして、その外見から、私の想像以上の苦労をしたはずだ。


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