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16.身体

 改めてみると、細い身体だ。ハーバードやアランを見た時にもモデルの様だと思ったが、私が与えられたこの身体も負けていない、と思う。普段からドレスを着ることが多いのだろう、腰はしなやかにカーブを描き、出るところは出ている。前の私の身体とは雲泥の差だ。


(多分、本物のロベリタが私の身体を見たら、なまってるって怒ると思うわ……)


 夢の中で見たロベリタは、自分にも、他人にも厳しいような印象を受けた。

 そう在るべきと言い聞かせているような気がして、死を選んだ理由もそこに起因しているようにも思える。もちろんそれが全てではないが、彼女の中で何かが狂ったのだろう。ゆるぎない、揺らがせたくなかった何かが。


 こちらの世界での私の容姿は、まじまじと見ると、西洋風の顔立ちをしていた。顔は小さく、肌は白い。髪は艶やかな栗色をしており、瞳の色はハーバードと同じく青色だった。もしかしたら、この世界では青い瞳が主流なのかもしれない。


「お姉ちゃん。早くしないと覗いちゃうよ」


 後ろから声がかかる。振り向くと、アランが天井から逆さまになってぶら下がっていた。赤い瞳は無遠慮にこちらを見ている。私は自分の顔が熱くなるのを感じた。


「も、もう覗いてるじゃない……!」

「うん。ロベリタ様のご友人、クリス様がいらしてるよ。早く支度したほうが良いんじゃない?」

「あ、アランは? どこか行くの?」

「護衛役がガールズトークに水差すわけにはいかないからね。記憶喪失のことは言っておいたから、後は二人で楽しんで」


‘ちゃんと、見守ってるからね’――。そう言い残し、アランは天井裏へと身を隠した。相変わらずの軽い動作だ。

 クリス。って、誰だろう。記憶喪失だと伝えてあるということは、知らなくても良いのだろうか。クローゼットの中から適当なドレスを選び、身に着ける。赤褐色に黒いレースのあしらわれた、シックなドレスだった。


(やっぱり、何着ても似合うわ)


 究極の自画自賛だが、素直にそう思う。きちんとドレスを着こなし、髪を自分なりにセットすると、慌てて扉の方へと向かった。


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