15.指結び
「本当に? 何があっても?」
「アラン……?」
「ねえ。死ぬときは一緒に死んでね。約束だよ」
突然、小さな温もりが胸に飛び込んでくる。見下ろすと、アランが私の胸に顔をうずめていた。その方は小さく震えている。泣いている、のだろうか。私は少し迷ったが、その小さな背中を放っておくこともできず、その背を抱きしめる。
「本当よ。死んだりなんてしないから、アランも死んじゃダメ。一緒に生きましょう」
「一緒に……? 良いの、僕で」
「? アランに死なれたら困るもの。だから私が死にたくなったら、アランが止めてね」
「……! うん。何があっても守るよ……!」
わたしを見上げ、小指を立てて伸ばしてくる。指切り。こちらにもそんな風習があったことに驚いたが、私は彼の気持ちに従うことにした。
大人びていても、子供は子供なのだ。思わず笑みが零れる。人間らしいしぐさに、少しだけ安堵した自分がいた。
「こちらにも、指切りなんて風習があるのね」
「こちらでは、指結びって言うんだよ。切っちゃ駄目だよ」
「ふふ。そうね。切るものじゃないわね」
言われてみればそうだ。約束事を切ってはいけない。言われてしまえばそれが当たり前のような気がしてきて、苦笑する。
指結び。死に近い国だからこそ、切るよりも結ぶことを選んだのだろうか。そんなことを考えていると、ふと、部屋の扉がノックされる音が聞こえた。
「お姉ちゃんは着替えてて。僕が出てくるよ」
結んだ小指に名残惜しむようにキスをして、アランが腰を上げる。
軽い動作に思わず胸が高鳴ったが、動揺している暇はない。
早く着替えなければ。私は重たい身体を起こし、クローゼットらしき家具へと向き直った。




