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主食大戦争  作者: 明るいあかり@ユリ
1/1

プロローグ

そこは、地球によく似ていた。

そこに、人間はいなかった。

そこは、平和だった。

そこ…食物星は、地球からは観測できない程、果てしなく遠い場所にあった。

そこに住んでいるのは「フード」と呼ばれる、人間によく似た外見をした生物たちであった。

彼らには種族があった。

米、パン、粉物、麺類、菓子などの…。

さらにそこから細分化され、数多くの種族たちが食物星で暮らしていた。

彼らはそこから、種族ごとに集まり、国を持ち、暮らしていた。

そこは、平和だった。

おにぎりは米国で、ロールパンはパン国で……幸せに、暮らしていた。

だが、そこに異変が訪れる。

各国代表者会議でのことである。

米国代表、ハクマイが、パン国代表のショクパンに、こう言ったのである。

「米とパン、どちらが朝食に相応しいか。」と。

彼らの星は、確かに地球からは離れていた。

だが、彼らは地球人の暮らしに興味があった。

地球人が、今と異なる姿の自分達を、モノも言えず動けない自分達を、食べる。

そんな暮らしに興味があった。

この星に生命が誕生し、生活を営んできたのは、ここ数千年前からだと言われている。

つまり、自分たちがこうやって種族ごとに暮らしているのは、地球での食生活が、何らかの影響をこの星にもたらしているからである。

彼らはそう考えていた。

故に、ハクマイはそう、発言した。

しかし、興味本位から発せられたその言葉は、ショクパンには癪に障った。

挑発だと捉えたのだ。

そしてこう言ってしまった。

「朝からぼそぼそした米なんて食えない。」

そう、言ってしまった。

それがハクマイにも怒りを覚えさせてしまった。

ハクマイは言った。

「では、どちらが主食に相応しいか。腹に溜まらぬパンは、相応しいと言えるのか。」

会議の二日後、米国はパン国に宣戦布告した。

それを待っていたかのように、各地で次々に戦乱の息吹が吹かれていった。

「どちらが白ごはんと食べて違和感がないか」と争う粉国と麺国。

さらには国の中で、「どちらが女子に人気か」と争う菓子国の和菓子と洋菓子。

そこはもう、平和ではなかった。



不幸か、それとも幸か。

彼らは戦のやり方を知らなかった。

文明はあったが、平和なこの星に、戦争をするような武器や兵器はなかった。

平和過ぎたのである。

地道に、相手を殺す道具をつくりながら、彼らは戦った。

そんな中、米国とパン国の間で、ある出来事が起こった。

戦争が始まってから約一年後に起こった、後に「発酵の光」と呼ばれる出来事である。

パン国は大量殺戮兵器を完成させ、それを導入した。

「カク」と名付けられたそれは、米国の兵士、そして一般フード民を数多く殺した。

米国は、不幸を嘆いた。

パン国は、一時はその幸に喜び、そして自らの行為に嘆いた。

この「発酵の光」が両国の兵器づくりを減速させた。

慎重になったのである。



そんな中、パン国はある情報を耳にした。

「米国が、フード自身を使った兵器づくりに力を入れている」と。

たったそれだけの情報は、パン国内部を荒れさせることにはならなかった。

この情報が入ってからというもの、米国がフード兵器なるものを戦闘に使用してこなかったからである。

パン国は米国を、ホラ吹きだと笑った。



戦局は疲弊したまま、既に二年以上が経過していた。

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