仲直りと問題発生
ひとしきり笑い終わったあと
伊豆の方から
「そういえば、なんで美景は謝ったんじゃ?」と聞いてきた。
「え、えっと、この前怒っちゃって帰ったから……」とポソポソ言うと、なんだそんなことかとかなんとか言いながら伊豆も
「わしもこの前は悪かった。美景の気持ちを考えずに発言してしまったな。悪かった。」
と言ったから私も伊豆の真似をして「なんだそんなことか」と言って笑った。
そのあとは二人でいつものようにお菓子をつまみ、お茶を飲み、雑談をした。
やっぱり伊豆の隣は落ち着くな。
でも、ほどよいくらいに胸がドキドキしてる。
「そういえば、話を掘り返して悪いが、美景は彼氏はおらんのか?」
といきなり伊豆が質問をしてきた。
「いないよ。まず好きっていうのがよくわかんないもん……。」と少ししょげながら言ったら
「ほぉ。今どきこんな初な子がいるとはな」と、はははっと笑っている。
「伊豆にはわかるの?好きっていう気持ち。」
「ああ、わかるぞ。好きな人とはいつまでも一緒にいたい。でもドキドキしすぎていたくない。そんな気持ちの間じゃ。彼氏彼女の関係になれば、落ち着く相手になるんじゃろうのぉ」
「ふーん。伊豆にはいたの?そんな相手。」
「ん?ああ、いないこともなかった。美景の周りにはそういう相手がいる子はおらんのか?」
「んー?あ、一人いるよ」
「ほぉ?」
「私が一番仲が良い、花ちゃんっていう子なんだけどね。学校の先生が好きなんだって」
「学校の先生にか?片想いなのか?」
「うん、たぶんそうだと思う。でもね、学校の先生だけど、私花ちゃんのことが大好きだから実ってほしいの。」
「そうか、そうか。実るといいのぉ。」
と頭をポンポンしてくる。
そして、頭をポンポンされ、なでられると気持ちよくて程よいくらいに心臓がドキドキしてくる自分に気づいた。
「ねえ、伊豆?私ね、伊豆と一緒にいると落ち着くの。もっと一緒にいたいと思う。頭を撫でられるのも嬉しいし。」
と言って頭を撫でる伊豆の手を握った。
そんなタイミングに合わせたように
スパンっ
「伊豆さまっ!ああ、美景さまも。ちょうどよいところへ。伊豆さま、長老様がおいでになってます。花嫁を見せろと……。」
と柚子が彼には珍しく少し焦ってやって来た。
「なに、長老が?」と伊豆も私の頭から手をどけ少し焦ってる。
仕方ない、と伊豆はぽそっと呟くと
「美景、今日これから暇か?」
「え、あ、大丈夫だよ。」
と私も少し焦りながら答えた。
「柚子、出雲を呼んでこい。美景、帰りは送っていくから少しわしに付き合ってくれ。」
「う、うん。」
と少し心配になりながらも答え、大人しくソファに座っていた。
すると、出雲さんが息せき切らしながらやって来た。
「はぁ、はぁ。美景さま、こんにちは。少しだけいじらしてもらいますね。」
と言い、パタパタとお化粧をされた。
服も少し和風のものへ着替えせられ髪の毛をセットしてもらっていたところへ、どこかへ行っていた伊豆が戻ってきた。
「うん、更に可愛くなったな」と甘い一言をさらっとはいた。