花ちゃん
「美景ちゃん、おはようー!」
トンっと軽く背中を叩かれ、花ちゃんが挨拶をしてくれた。
「おはよう、花ちゃん……」
「きゃっ、どうしたの美景ちゃん!その顔!!顔色悪いしいつもの可愛い顔はどこに行っちゃったの!」
いつも可愛くないよと心の中で思ったが声には出さず、
「昨日のこと考えてたら眠れなくて。」と返した。
「ああ、昨日のことね。前にさ、私、美景ちゃんに好きっていう気持ちがわからないままの美景ちゃんでいてねとか言っちゃったけど、あれ気にしないで!言葉の綾みたいなものだから!」
と花ちゃんは言った。
そんなことも言われたなぁとふと思い出した。
「昨日、相談したけど、まだよくわからないの。私、その人のこと好きなのかな……。」
「それは美景ちゃんにしかわからないよ。でもね、その人を見てドキドキして一緒にいたいと思うなら好きってことじゃないかな?」
と花ちゃんは言って、更に何かを言おうとしたがチャイムが鳴ってしまった。
またあとでね、と声をかけ席へ戻っていった。
ふぁ~と欠伸をしていると、
「大きな欠伸だな。」と波野先生に笑いながら言われた。
「あはは、ちょっと寝不足で……」
「寝不足か。体調に気を付けろよ?そういえば、鈴木を知らないか?」
「花ちゃん?今、呼びますね。」
「花ちゃーん!先生が呼んでるよ!」
と呼ぶと
花ちゃんはガタガタ席を鳴らして、頬を少し染めながら小走りでやって来た。
あれ…?と思いながら私は席に戻り様子を見守っていると、花ちゃんは少しわたわたしながらも、波野先生と話をしていた。
話が終わり、戻ってきた花ちゃんに単刀直入に
「花ちゃんって、波野先生のこと好きなの?」
と聞くと
「ななななんで、それを……!!」
頬を真っ赤に染めた。
「あ、当たった?さっき話してるのみてたらそうなのかな~?と思って。」
「え、私そんなに分かりやすかったかな?波野先生にばれてたらどうしよう……!!」
と花ちゃんはおろおろしだした。
大丈夫でしょと思ってそれを言おうと思ったが、そこれ隼人がやって来た。
「おーい、美景。今日は一緒に帰れないから一人で帰れよ?」と勝手に一人で言い放ち、戻っていった。
「え、美景ちゃん!隼人くんとそんな関係だったの!?」と花ちゃんは恥ずかしさから驚きに変わったようで。
「いやいやいや、違うよ!昨日はたまたまね……!」
「ふーん。まぁ、美景ちゃんにはあの人がいるしね?」
とからかうような表情を浮かべて花ちゃんは言った。
まだ好きなのかなわかんないんだけどなあ~と思いながらわ私も
「花ちゃんには波野先生がね?」とからかい返した。
学校が終わり、伊豆のとこへ行こうか迷ったが結局行くことにした。
昨日のことで行きづらかったが、謝りたかったし、伊豆への気持ちを確かめたかった。
「い伊豆ー……?伊豆いる?」
と恐る恐る声をかけると伊豆が
「美景か。」と言いながら出てきた。
伊豆を見た瞬間にドキッとした。
これは花ちゃんが言ってたやつ……?と思ったがまだ確信はしていない。
それよりも昨日のことを謝らなきゃと思い
「「昨日はごめん!(悪かった!)」
と声が被った。
被ったことにお互いが気づき、笑いあった。